皇室に関する積極的な情報発信のため、宮内庁がSNSを含めた新しい手法の活用を検討している。SNS活用を検討するに至った経緯や新たな広報戦略の内容について、フジテレビ皇室担当の橋本寿史解説委員に話を聞いた。

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正しい情報を積極的に提供

――SNSでの情報発信を検討していると伝えられた、その経緯は?

宮内庁が8月に明らかにした2023年度予算の概算要求には、広報体制の整備のために新たなポストを設け、職員を増員するというものが含まれていました。そして12月23日に最終的な予算案で、室長というポストが新設され、職員については3人増員されることが明らかになりました。この人たちは、今、宮内庁が持っているホームページの拡充のほか、SNSの活用も検討していくということです。

――なぜこのタイミングでそのような動きになった?

秋篠宮家の長女・小室眞子さんの結婚をめぐり、週刊誌報道やSNSの書き込みというのがいろいろあって、様々な意見がSNS上に氾濫しました。宮内庁としては、皇室に関する誤った情報も出されていて、宮内庁から正しい情報を積極的に提供する必要があるということで、広報検討しようということになったようです。

情報発信について「正確な情報をタイムリーに出していくことが必要」と指摘された秋篠宮さま
情報発信について「正確な情報をタイムリーに出していくことが必要」と指摘された秋篠宮さま

――世界を見渡すと、例えばイギリス王室はSNSを活用し、ツイッター、インスタグラム、フェイスブック、YouTubeで、それぞれの特性に合わせた投稿をしていますね。

SNSで情報発信というと、天皇家の方や宮家の方が自分から何か発信をされていくんじゃないかと想像される方もいるんですが、私はそれは無理だと思います。

イギリス王室のツイッター
イギリス王室のツイッター

イギリスの王室でも、国王中心のものやウィリアム皇太子夫妻のものなど分類はされていますが、やはり直接のコメントというのはそんなに広く情報発信をしているということはないようです。

エリザベス女王の国葬の時には、お別れの仕方、ウェストミンスターホールでのお別れの仕方や道順、それから、「今、もうこれだけの人がいるので並ばないでください」というような、いろいろな形で、即時性を持って、要するにツールとしてSNSも活用されていたようです。

――「即時性」はSNSの魅力の一つでもありますね。そして拡散して、いろんな人がその情報を知ることになる。

そうですね。それが果たして宮内庁というお役所の組織の中でできるのか。例えば、陛下や皇族方が地方に行かれて、その写真をアップするといったときに、SNS担当者が同行し写真を撮影してアップするのか、宮内庁本庁に写真を送りそれをSNS担当者がすぐにアップする形なのか。そういうスキルとマンパワーが必要になってきます。

ですから、「即時性」というものに関して、どこまで宮内庁が対応できるかというのも、一つ問題になりそうです。

――これまでいろんな誤った情報を訂正する手段というのが弱かったから、SNSを通じてそういうこともやっていきたい、というようなニュアンスも感じます。

宮内庁というのは、やはり皇族を守る、ある意味で黒子の立場なんですけれども、宮内庁がいろいろなことをやっていく中でのイメージというのが、そのまま皇室のイメージにもつながる可能性があります。

そういうケースがあるだけに、情報発信ということについても、どういう形でいわゆる“世の中の常識”や、いろいろな人たちの常識にどこまで近づけるか。そこが実は問われている問題で、すごく難しい問題にはなってくると思います。

――でも訂正だけではなく、皇室の皆様方を国民の特に若い方を近づけたいという思いもある?

訂正をしたいがゆえにSNSを運用するというよりは、正しい情報を出していくことによって、いわゆる間違った情報というのを駆逐できるんじゃないかという考え。

訂正をするということが目的ではなく、正しい情報を皆さんに届けたい。おそらくそこが一番の目的です。

(FNNプライムオンラインYouTube「皇室親話」より)

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プライムオンライン編集部
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