B級グルメの全国大会「B-1グランプリ」で2年連続グランプリを獲得し殿堂入りを果たした、静岡県が誇る、ご当地グルメ「富士宮やきそば」。

富士宮やきそば(富士宮市HP)
富士宮やきそば(富士宮市HP)
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この「富士宮やきそば」の缶詰を、静岡県に本社があるホテイフーズコーポレーションが開発し、8月1日に販売を開始した。

ホテイフーズコーポレーションによると、「富士宮やきそば」の缶詰の商品化は業界初だという。

富士宮やきそばの缶詰(提供:ホテイフーズコーポレーション)
富士宮やきそばの缶詰(提供:ホテイフーズコーポレーション)

この缶詰は、富士宮やきそばの特徴である「太めのコシのある麺」、「キャベツ」、「肉カス」、イワシの削り粉である「だし粉」を使用している。

「肉カス」は、豚の背脂からラードを搾り、残ったものをカリカリに焼き上げた、ご当地食材。
これを麺と一緒に焼き上げることで、凝縮された豚の旨味が染み出し、麺と「キャベツ」に絡み合い、食欲を刺激する風味と旨味が際立つ「富士宮やきそば」に仕上がっているという。

「だし粉」は、静岡おでんのトッピングにも使用される、静岡ならではの調味料。これをふりかけ、「富士宮やきそば」の風味を一層、引き立たせている。

味付けには3種のソース(ウスターソース、中濃ソース、粉末ソース)を組み合わせ、独特の風味と味わいを作り上げている。

また、缶詰で麺といえば、これまで、“こんにゃくなどを使用した代替麺”を使うことが多かったのだが、この缶詰は“小麦粉の麺”を使っているのが最大の特徴だ。

「富士宮やきそば」は「コシのある麺」が特徴だが、缶詰でも、その“コシ”は再現できているのだろうか?また、小麦粉の麺で缶詰を作るのはどういった点が難しいのか?

ホテイフーズコーポレーションの担当者に話を聞いた。

“麺のコシ”をどう残すかが最大のポイント

――「富士宮やきそば」を缶詰にしようと思った理由は?

コロナ禍で観光需要が低迷する中、静岡ならではの商品を缶詰にすることで、行楽した気分をお届けできないだろうかと考えました。

そうした中、静岡県内の名物である「富士宮やきそば」の商品化を検討したのが開発のスタートです。
 

――そもそも、「やきそばの缶詰」はこれまでに商品化されている?

調べましたが、「やきそばの缶詰」は無いので、業界初だと思われます。
「富士宮やきそば」の缶詰であれば、100%業界初です。
 

――こんにゃくなど代替麺を使った「やきそばの缶詰」も、これまで商品化されていない?

こんにゃくを使った「ラーメンの缶詰」などは過去に商品化されましたが、「やきそばの缶詰」はありませんでした。
 

――小麦粉の麺を使った「やきそば」を缶詰にすること、どのようなところが難しい?

缶詰は、殺菌という工程で3年の長期保存を可能にしています。

具体的には圧力をかけながら、120度を超える温度で缶の中を殺菌します。
この工程は素材に与える影響がかなり大きいのですが、水分が多いと麺がベチョベチョになり、逆に少ないとパサパサになってしまいます。

富士宮やきそばの缶詰の中身(提供:ホテイフーズコーポレーション)
富士宮やきそばの缶詰の中身(提供:ホテイフーズコーポレーション)

――「富士宮やきそば」の缶詰、麺のコシは再現できている?

商品化するにあたって、殺菌した後の食感=麺のコシをどう残すかが、最大のポイントでした。

まずは、出来上がった「富士宮やきそば」をそのまま、缶に詰めて殺菌したのですが、上手くいきませんでした。その後、一度、焼き上がった、やきそばを冷凍することで、殺菌後も麺のコシが残ることが分かり、商品化に大きく前進しました。

麺のコシが残る理由、冷凍が麺に与える影響については、詳しいことは分かっていません。

「缶詰とは思えない」という感想をいただきました

――「富士宮やきそば」の缶詰、どこで購入できる?

店舗での販売は静岡県内となります。

・エスパルスドリームプラザ
・静岡県内のユニー
・静鉄ストア
・浅間大社の境内の売店
・ここずらよ
・お宮横丁
・名産品売店きたがわ
・白糸の滝売店ハッピーベル
・休暇村富士の売店

通販では以下で購入可能です。

・ホテイフーズ直販ショップ(8月5日夕方から販売開始予定)
・PayPayモールのホテイフーズ公式ショップ
・Amazon
 

――販売開始後の反響は?

即売会イベントでは多くのお客様に味見してもらいましたが、かなり好評で「缶詰とは思えない」という感想を多くいただきました。
「お土産にも備蓄にもなるし、面白いね」ということで、手ごたえを感じています。
 

――缶詰なので「備蓄用」という意味合いが強い?

備蓄食だけですと、販売の機会が限られてしまいますし、お土産だと販売エリアが狭くなってしまいます。その点、備蓄食にも、お土産にもなるという提案ができる「富士宮やきそば」の缶詰は、開発にも拡売(=販売や売上を拡大すること)にも取り組む価値がある商品と捉えています。

「お土産」としてもらってうれしい、「備蓄食」として備えて美味しい、そんな商品を目指しています。

 

「富士宮やきそば」の缶詰は110グラム入りで参考小売価格は540円(税込)。気になる人は購入して“麺のコシ”を確かめてみてはいかがだろうか。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。