黒いロングコートに革靴といういでたちで温泉施設に入り、女性らと談笑する北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記。
1月20日、金総書記が北朝鮮の咸鏡北道(ハムギョンほくどう)にある温堡(オンポ)労働者休養所の竣工式に訪れ、施設内を視察する様子を朝鮮中央テレビが公開しました。
映像には、プライバシーなどの配慮が求められる浴場に入り込み、入浴している人たちと談笑する様子も含まれていました。
この豪華な施設が完成するまでには、紆余(うよ)曲折がありました。
今から8年前に現地を視察した金総書記。
その際、施設内の設備について「魚の水槽より劣る」「みすぼらしい」などと酷評したのです。
激しく批判し、リフォームを命じた金総書記。
その後、完成した施設にはいくつもの温泉があり、豪華さが際立っています。
本来、プライバシーなどへの配慮が求められる空間での映像を今回、あえて公開した狙いは何なのでしょうか。
北朝鮮情勢に詳しい甲南女子大学の鴨下ひろみ准教授は「金総書記が実際に視察することになれば、プライバシーの問題よりは金総書記が視察したい場所すべて公開するというのが大原則。金総書記は今、人民大衆第一主義ということを掲げ、人民に対して愛情を注ぐ指導者であるということを宣伝。そのために、わざわざこんなところまで視察するんだと思われるような場所まで行って住民と触れ合うことをアピールしたい狙いがある」と指摘します。
加えて、今回の映像公開には、2月にも開催されるとみられる労働党大会に向け実績をアピールする狙いがあるのではないかといいます。
甲南女子大学・鴨下ひろみ准教授:
党大会では、この5年間の金総書記を中心とした朝鮮労働党の成果をアピールしなければいけないわけで、そのうちのひとつが温泉施設であって、人民のためを思う施設を金総書記の指示でこれだけ作っているんだと。1回はダメ出しした施設だったんですけど、その後、改善してこれだけいい物にしたことをアピールしているわけです。
2月にも開催されるとみられる党大会で、金総書記がどのようなメッセージを発信するのか注目されます。