観光客に対して価格を高く設定する二重価格。オーバーツーリズム解消に向けて各所で導入する動きが広がるなか、トラブルも起きている。
『南蔵院』に続き『小倉城』でも
多くの観光客で賑わう北九州市小倉北区の小倉城。

この春から新たに導入されるのが、地元客と観光客で価格を分ける二重価格だ。北九州市によると、小倉城の入場料を2026年4月から現在の350円が、市民は400円に、市民以外は500円に値上げするという。

北九州市観光課長の大浦太九馬さんは「市民の方は市税によって施設の維持管理料をご負担頂いております。ただ市外の方は、税負担がないので公平感を担保するために今回、料金設定を分けた」と二重価格設定の背景を話す。

二重価格を巡って県内では、ほかにも動きがある。全長41メートルの涅槃像で知られる篠栗町の南蔵院。

入り口には『1人300円の入場料がかかる』という英語の張り紙が掲示されている。南蔵院は、外国人観光客の増加に伴ない二重価格設定の決断に踏み切った。

境内のポイ捨てや、集団で地面に座り込むなど、一部の外国人観光客によるマナー違反。

南蔵院では、こうした迷惑行為が後を立たず、警備や清掃にかかる費用を捻出するため、2025年5月から、18歳以上の外国人観光客に限り1人300円の拝観料を徴収するようになった。

アメリカからの観光客に話を聞くと「日本人が無料で参拝することは当然だと思いますが、私たちは旅行客なので、お金を払うのは当たり前です」と応えた。

海外では当たり前だが…
世界に目を向けると、二重価格は決して珍しいものではない。エジプト・ギザの三大ピラミッドは、外国人料金が日本円で約2300円。エジプト国民の10倍以上だ。また世界最多の来館者数を誇るフランスのルーブル美術館も二重価格を導入し、外国人の入館料を45%引き上げた。
日本国内でも、2025年に沖縄・名護市にオープンしたテーマパーク『ジャングリア』が、一般料金を8800円とする一方、国内在住者向けは2000円近く安く設定している。さらに、九州国立博物館を含む全国11の国立施設でも、外国人料金の導入を検討する動きが出ている。

そうしたなか、或る人気のラーメン店で二重価格を巡るトラブルも発生している。店では日本語表記のラーメンは1千円。一方、英語表記で選べるラーメンは2千円前後に設定。店長によると、外国人向けのラーメンは、味付けや具材を変えた特別メニューで、日本語が分かる客と日本語が分からない客で商品が変わることを券売機に記載しているが、外国人が返金を要求したという。
『値上げ』ではなく『値下げ』と表記
二重価格について専門家は、導入する上でトラブルになりにくいポイントがあるという。それが「特定の属性の人を値上げするという表現ではなく、値下げするという表現にする」ということ。つまり、日本在住の人と外国人観光客の価格が違う場合「日本在住の人は値下げする」という表現の方が、利用者にとっては心理的なストレスが少ないということのようだ。

二重価格は、地域や文化を守る手段となるのか、それとも新たな摩擦を生むのか。観光客の増加による恩恵と負担をどう分かち合うのか。そのバランスが問われている。
(テレビ西日本)
