イチゴ狩りのシーズンが始まったが、生産の過程で避けられないのが、傷などが付いた廃棄品。こうしたイチゴにスポットを当てる取り組みを取材した。
繊細ゆえ傷みやすい『あまおう』
今シーズンのイチゴ狩りが始まった福岡・小郡市のイチゴ農園『白木のいちご』。訪れた人たちが次々に頬張るのは、真っ赤に色付いた今が旬のイチゴ。ハウス内は家族連れなどで早速、賑わいを見せていた。

このイチゴ農園では、3種類のイチゴを食べ比べることができるが、やはり人気は福岡県のブランドイチゴ『あまおう』だ。

イチゴ農園代表の白木秀弥さんは、熟練の目利きで実を完熟させているが、あまおうの栽培では課題も多いという。「あまおうの実は柔め。傷みやすいというのは、あると思います」。

一見、きれいに見える実だが「これ、ちょっと擦れてる感じがあるんで、そこから黴菌が入って腐り始めてる」と説明する白木さん。

その繊細さゆえ、他の品種より傷みやすいというあまおう。いわゆる廃棄品は、多い時には1日バケツ3杯分あり、年間で約3トンに上る。

白木さんは「生産してたら、どうしてもロスが出ちゃうのはしょうがない。頑張って育てたイチゴだから捨てちゃうのは申し訳ない」とイチゴの実を見つめた。
原料に廃棄品から抽出したエキス
本来なら廃棄されてしまうあまおうだが、再び輝かせる取り組みが始まっている。福岡市のフレグランスショップ『フェルナンダ アミュエスト博多店』。香水やハンドクリーム、アロマオイルなど約15種類のアイテムが並ぶ中、店の最も目立つ場所にイチゴシリーズが並べられている。
原料の一部に使われているのは『白木のいちご』から出た、廃棄品のあまおうより抽出したエキス。取材した記者が試用すると「再現度がすごいです。イチゴの甘い香りがしっかりするんですが、それだけじゃなくて摘みたての甘酸っぱさも感じるような香り」だという。

『フェルナンダ』九州エリアマネージャーの梶原あかりさんは「お客様からは、いつも『おいしいやつですよね』と言って頂けます。親近感が湧くというか、実際にあまおうを使用しているという表現だけでも、贈り物などに選ぶ人がいらっしゃる」と話す。

『フェルナンダ』では、4年前からモモやリンゴなどの廃棄品を使った商品を手がけていて、新たにあまおうを使った商品開発を目指す中、40年以上イチゴ栽培を続ける白木さんと出会い試作を繰り返したという。

梶原さんは「環境のためでもあるし、農家さんのためでもあるというところで、いろんな繋がりがある商品という気持ちで使って頂けるとブランドとしては嬉しい」と話す。
フレグランス商品として蘇った廃棄品のあまおう。生産者の白木さんも「もともと廃棄してたものだから、もともとゼロじゃないですか。ゼロからまた1とか、もっと2とか3とかいろんなものが生まれていくのは、生産者的にもありがたい」と、その可能性に期待を寄せている。

白木さんのあまおうを使ったイチゴコレクションは、2月末頃まで販売予定となっている。
(テレビ西日本)
