業界では「セルフレジ」が広がる中、長野市街地のスーパーでは、焦らずに会計ができる有人の「ゆっくりレジ」を導入した。利用者に高齢者が多いことが理由で、店は店員との会話も楽しんでほしいと話している。
新たに有人の「ゆっくりレジ」導入
長野市のもんぜんぷら座にあるスーパー「TOMATO食品館」。
店員がレジ打ちをしながら「暮れの準備で大変ですね、たくさん」と話しかけると、買い物客が「そうですね、実家に持っていくやつとか、おばあさん一人だから何もないから」と応じた。
従業員と買い物客のレジでの何気ない会話。今ではあまり見かけなくなった光景だ。
店はこれまで、店員がバーコードを読み取り客が機械で精算する「セミセルフ式」のレジがメインだったが、12月、清算まですべて有人で行うレジを1レーン導入した。
焦らずに会計できるその名も「ゆっくりレジ」だ。
高齢の買い物客からは「年しているのでこのほうが楽ですね。安心です」、「機械に慣れてないからね。年するとね」 と歓迎の声が聞かれた。
「セルフ」広がる中、導入の背景は
業界は効率化で「セルフ」が広がる中、逆の取り組みだ。
スーパーを運営する「まちづくり長野」の藤沢敦さんは「早く買い物をしたい人のニーズはセミセルフ、ゆっくり店員に確認したいのであれば『ゆっくりレジ』を使っていただいてと選択肢を設ける形で気持ちよく買い物してもらえたら」と導入の理由を説明する。
店は郊外のスーパーと違い、利用者は地元のお年寄りが多くいる。機械の操作が苦手な人もいると判断し「ゆっくりレジ」導入を決めた。
店員との会話へのニーズも
さらにもう一つ大きな理由が―。
買い物客:
「朝ちょっと寒かったですね」
店員・池田和美さん:
「寒かったですね。あと帰る頃とね」
この日、「ゆっくりレジ」に立ったのは店員の池田和美さん。20年以上勤務するベテランで常連客とは顔なじみだ。
店は池田さんら店員と会話を楽しみたいという人も多いのではと考えた。実際、2024年秋に利用者にアンケートしたところ高評価を受けたのは店員の「親切な対応」や「話しやすさ」だった。
“池田さんのファン”という買い物客は「おしゃべりできるのは楽しい。池田さんはいつも元気で」と話す。
池田さんは「毎日ほとんど来ていただいて、お話して」と笑顔で応じた。
他の買い物客も「一声かけてもらえるとほっとする。機械だと物足りない、さみしいっていうか」と話し、レジで店員との会話を楽しんでいる。
店員「お客さんの言葉は宝物」
店員の池田和美さんは「私たちにとっても感謝の気持ちを言葉で伝えられるのは機械とは違う。お客さんの言葉は宝物。(利用者のニーズを)私たちが受け止めてゆっくり対応できることが一番大切かな。次も来ようという気持ちになってもらえたら」と語った。
店は今後、お年寄りの利用者はさらに増えるとみている。従業員に認知症サポーター養成講座の受講も勧めていて、さらに接客面を強化していきたいという。
