多くの人にとって身近な存在である「スーパーのお惣菜」。その開発現場にカメラが入った。そこには「自分の家族に食べてもらうように」レシピを考え、試行錯誤する女性たちの姿があった。
開発メンバー全員、お惣菜開発を志し中途入社
今回訪ねたのは、福井県内外で店舗を展開するスーパーセンター「PLANT」。清水店の店内には和洋中、約200種類ものバラエティ豊かなお惣菜が並ぶ。その多くが店内調理だ。
2023年中日本スーパー総菜部門で、からあげグランプリの最高金賞に輝いた「鶏むね塩唐揚」や、年間約3億円を売り上げる「一番だし香る三元豚ロースカツ丼」。通常の2倍の大きさを誇る「どすこいおにぎり」など数々のヒット商品が存在する。

これらの開発を手掛けるのが本社の「プロダクツ部メニュー開発チーム」。率いるのは、お惣菜開発歴約20年のベテラン、田地明枝さんだ。「新商品とマイナーチェンジを含めて1年に約250品を作っています」
メンバー全員が、お惣菜開発を志し中途入社した女性5人で「食べるのが好き。料理するのが好き」という共通点を持つ、食への探求心が強いチームだ。
偶然から生まれる“ヒット商品”も
かつて販売していたヒット商品「タルトマ冷しラーメン」は、中華ダレとタルタルソースに、偶然冷蔵庫にあったトマトソースを加えて生まれたのだという。
田地さんは「味と価格と見た目で各メーカーのソースを十何種類も並べて選ぶ時もあれば、たまたまあったソースを合わせて味が決まることもある」と話す。
メニュー開発で大切にしている事について「家族に食べてもらう感覚を忘れず、安全性と美味しさを追求している」と田地さん。
新作コロッケは商品化できる!?役員プレゼン
これまで低価格な「ポテトコロッケ」が主力だったPLANTが、2年をかけて開発を進めている商品がある。「お肉がいっぱい入ったコロッケが食べたい」という客の要望に応える「牛肉コロッケ」だ。
この日は“役員プレゼン”が行われ。役員が試食し、販売の最終決定を下すのだ。この約1カ月半前に行われた前回は「ジャガイモのゴロゴロ感が欲しい」という課題が出されていた。
そこで今回は、ジャガイモの大きさやコロッケそのものの大きさを変え、全部で4種類を用意。1つでも合格すれば、販売に向けて進むことができる。プレゼンに臨むリーダー・田地さんの表情には、自信と不安が入り混じる。
プレゼンが始まると、同社の食品部門を立ち上げ軌道に乗せた三ッ田泰二社長が、鋭い視線でコロッケを吟味。「パン粉は細かめのものを使ってるんだね」と1つ目を口に運ぶ。「優しい味で食べやすいコロッケだね」と一定の評価をするも…「ちょっと肉感がどうかな?」と一言。
しかし、サイズを大きくした3つ目を試食すると「厚いとおいしく感じるね」と社長の反応に変化が見られた。「衣が口に入る比率が下がるので、イモと肉の味が強く感じると思う」と田地さん。
そして、最後の4つ目を口にした瞬間。「これ美味しいわ!」と三ッ田社長。
しかし「牛肉の量や風味について意見があったので、もう少し改良したい」と気を引き締める田地さん。3月頃の発売を目指して最終調整を進めることになった。
福井の“人気お惣菜”とスイーツ
共働き率が高いこともあり、お惣菜の購入額が全国トップクラスの福井。県内にある各スーパーには、それぞれ不動の人気メニューがある。
県内各地で店舗を展開するスーパー「バロー」は、1個33円という驚き価格の「ポテトコロッケ」。販売当初は「18円コロッケ」として売り出していたが、原材料が高騰する中で価格は少しずつ上昇。
それでも常連客は「コスパ最強!」と喜び「お店は大丈夫なんでしょうか…」と心配するほどだ。
一方、奥越地方のスーパー「かじ惣」は、2時間煮込んだ「上庄里芋煮っころがし」が名物。味が染みたねっとり食感が特徴。これを丸ごと天ぷらにしたアレンジ商品も人気を集める。
続いて、敦賀市にあるハニー新鮮館エフレ清水本店で人気なのが「フジバーグ(1個214円)」だ。発売以来40年間が経ち市民からは「週に1、2回は食べる」「ソウルフードやね」といった声が上がる。「国産の豚と鶏ミンチによるふわふわ食感と、秘伝の特製ソース」が人気の秘訣だという。

お惣菜だけでなく、スイーツも負けてはいない。
平和堂の「焼き芋たっぷりサンド」は、1年熟成させた紅はるかの甘さを、糖度を抑えたホイップクリームが引き立てるこだわりの一品。
アルビスの「昆布おはぎ」は、あんを餅生地で包み、黒とろろ昆布をまぶしたユニークな一品。昆布の塩味があんの甘さを引き立てる。※大願寺店では水・土のみ販売(他店舗は要問合せ)
ハニー新鮮館かつやまは、甘党にはたまらない「いもくりなんきんパフェ~とうふドーナツ~」。3月末までの土日限定でエフレ清水本店を除きハニー新鮮館全店で販売している。
スーパーのお惣菜の裏側には、食べる人の笑顔を思い、日々努力を続ける人々の姿があった。
