岸田前総理らを殺害しようとした罪などに問われた木村隆二被告は、1審で懲役10年の判決を言い渡され、控訴しましたが、2025年9月25日、大阪高等裁判所はこれを棄却しました。

言い渡しの途中、小説とみられる本を開いたり、ノートにメモを取って弁護士に見せたりして判決に納得していない様子を見せていた木村被告。

言い渡しが終わると裁判官に向かって「裏金もらって判決を書いたんですか」と、大きな声で言い放ち、検察官にも「検察官、裁判官を名誉棄損で訴えます。あなたに告訴しました」と発言しながら退廷しました。

そしてこの判決を不服として上告しました。

現職の総理大臣を狙った犯行に裁判所はどのような判断を下したのか、その1審の判決を振り返ります。

(この記事は1審判決時の内容や控訴審判決時のニュースを改稿したものです。)

【和歌山地方裁判所・福島恵子裁判長】「主文 被告人を懲役10年に処する。あえて内閣総理大臣を狙い、計画的に犯行に及んだ。その意思決定は極めて短絡的で強い責任非難に値する」

まっすぐ裁判長の方を見つめ、冷静に判決の言い渡しを聞いていた木村隆二被告(25)。

■被告は殺意を否定するも、専門家による再現実験で殺傷能力あり

事件が起きたのはおととし。

木村被告は、岸田前首相が衆議院の補欠選挙の応援で訪れていた会場に、自作の爆発物を投げ込み、岸田前首相らに対する殺人未遂など5つの罪に問われています。

初公判で木村被告は…

【木村隆二被告】「人を害する目的ではないです。殺意はありません」と殺意を否認。

裁判の中では、爆発物の威力について実験を行った専門家が、検察側の証人として出廷。

再現実験で、爆発した破片が、厚さ9ミリのベニヤ板を貫通したと説明し、「木村被告が自作した爆発物には殺傷能力があると思います」と証言しました。

■動機は「関心を集めるため。選挙制度に不満」

また、木村被告は逮捕された後、一貫して黙秘を続けていたため、その動機が注目されていましたが…

【木村隆二被告】「関心を集めるには、こういうことをしないとどうしようもないと思った」

木村被告は、年齢の要件や供託金の問題で立候補できず、選挙制度に不満を持っていて、世間の注目を集めたかったからだ」と説明しました。

検察側は「人が死傷する可能性が高い非常に危険な犯行。民主主義の根幹である選挙制度を揺るがす行為」として、懲役15年を求刑。

■被告には「未必的な殺意」があった

19日、和歌山地方裁判所は…

【福島恵子裁判長】「爆発物の製造、使用及び所持は、いずれも身体加害目的を伴うものであり、被告人に未必的な殺意があった」

人が死んでもかまわないという「未必的な殺意があった」と指摘。

裁判所は、木村被告の自作した爆発物に「殺傷能力」があるとして、「飛散の仕方によっては人を死亡させる可能性が高い。被告人も当然認識していたはずである」と、懲役10年の判決を言い渡していました。

(1審判決の内容は関西テレビ「newsランナー」2025年2月19日放送より)

関西テレビ
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