深刻な技能実習生の失踪…
今回の現場の元受け企業である準大手のゼネコンは、取材に対し「弊社の工事現場作業所内で、ケガを負われたということについては、大変遺憾に感じております」「今回の事象を受けた再発防止策や取組内容の改善についても検討を進めているところでございます」などと回答した。

深刻な人手不足を補うため、2024年に過去最多の230万人を超えた外国人労働者。しかし、技能実習生では、年間で6000人から1万人近くが失踪したというデータもある。
一部が犯罪に関与するケースも問題となっている。

こうした背景もあり、政府は、一部の在留資格の外国人労働者の受け入れ上限をおよそ123万人とする案を示した。
現在、技能実習生の失踪者が最も多いのが建設業界だ。

建設現場では、どれほどの外国人労働者が働き、そしてどのような対策が講じられているのか?FNNは、元請けとなる主要ゼネコン各社にアンケートを実施。すると、協力してくれた15社すべて、建設現場に外国人が入っていると回答した。
その割合は全体の数%~10%前後と答える会社が多く、現場ごとでみると、多いところでは半数近くが外国人の現場もあるという。
「日本語が苦手なことが原因で外国籍の現場監督が、打ち合わせから外されてしまった」「安全に関する指示を外国人作業員が間違えて理解してしまった」などのトラブルへの対応策として、「現場の掲示物を多言語にしている」「日本文化に精通している外国人を雇用して委託先の外国人のケアをしている」といった、様々な回答があった。
対策進める現場も
実際に対策を進めている建設現場もある。
社長:
こっちから貼って、こっちから貼るのだめよ?
通訳:
(ベトナム語でベトナム人作業員に翻訳)
社長:(床の)目が合わなくなる。
2年前に通訳を雇ったというこちらの会社は、現在、従業員9人中6人がベトナム人。当初はゴミ捨てやタバコのマナーをめぐって、どのように理解してもらうか悩んでいたが、通訳を通してきめ細かい指導ができるようになったという。
記者:
通訳するときに工夫していることは?
通訳・ゴックさん:
最初は建築の言葉が全然わからなくて、会社はいってからまた勉強して、建築のやり方とか。

社長:
文章だと漢字があるのでなかなか理解してもらえないところがある。そういう部分では、(通訳の)ゴックが大変だな、勉強しないといけないから。
彼らも日本語でうまく伝えられない部分があるじゃないですか。直接言えないような(彼らの)気持ちが、通訳で自分のとこに届くので、メリットはあると思います。

文化や言葉の壁をどう乗り越えるか――。
今回紹介したような民間企業の取り組みに加えて、入国時に日本の制度や習慣を学んでもらうことも有識者懇談会が法務大臣に提言している。
互いの理解を深めるため、国の制度作りが、必要不可欠だ。
(「イット!」12月25日放送より)
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