「鬼滅の刃」とのコラボが開始

“鬼”を共通点に、伝統工芸の職人と人気アニメ作品とのコラボが10月30日に始まった。

コラボするのは、国の伝統的工芸品に指定されている「三州鬼瓦工芸品」を制作する“鬼師”と呼ばれる職人と、今話題沸騰中の原作・吾峠呼世晴のアニメ「鬼滅の刃」だ。公開中の映画は日本映画史上最速で興行収入100億円を突破している。
 

©KG/S, A, U
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鬼瓦とは、おもに魔除けや厄除けの意味が込められ、大切な家屋・家族を護ってくれるという、瓦葺きの屋根の端などに設置される装飾性のある瓦をいう。この鬼瓦を作る職人が鬼師だ。

コラボではその“鬼師”が制作した、大きさ30×30センチずつの「瓦モニュメント」を高浜市役所庁舎前に設置。ひとつひとつ細部までこだわって彫刻した、主人公の竈門炭治郎をはじめ、我妻善逸や嘴平伊之助ら14隊士が高浜のまちを守ってくれるというわけだ。
 

瓦モニュメント(©KG/S, A, U)
瓦モニュメント(©KG/S, A, U)

また鬼師制作の、瓦製ペーパーウェイトや瓦製マグネットなどが「コラボ限定オリジナル瓦グッズ」として、観光案内所などで販売される。

開催場所は愛知県高浜市。コラボの実施期間は10月30日~2021年1月29日までとなる。

瓦グッズ(©KG/S, A, U)
瓦グッズ(©KG/S, A, U)


鬼師の技が凝縮された瓦グッズだが、今回のコラボではどういった部分に技が発揮されたのだろうか? また、そもそも「鬼滅の刃」とコラボすることになった理由とは? 鬼師であり、三州瓦工業協同組合の山本英輔理事長に話を聞いた。

“鬼”の字つながりでコラボへ

ーーなぜ「鬼滅の刃」とコラボすることに?

アニメと鬼瓦をコラボすれば、若い方にも鬼瓦に興味を持っていただけるのではということで、コラボできるアニメを探していました。鬼師が制作する鬼瓦と「鬼滅の刃」の“鬼”の字つながりでコラボすることになったのです。


ーー瓦モニュメントなどの制作期間はどれくらい?

瓦モニュメントですと、1枚あたり1カ月程度です。形づくりに1週間程度、乾燥に2週間程度、焼成に数日程度となります。それを計15枚(1枚はタイトル)作成しました。(鬼師がそれぞれの工房で作成しているので、それぞれ取り掛かり時期が異なります)

瓦モニュメントの制作風景(©KG/S, A, U)
瓦モニュメントの制作風景(©KG/S, A, U)

ーー鬼師としての技を発揮したこだわりの部分は?

アニメの雰囲気を壊さないように、ヘラの線で鋭さややさしさを再現・表現するところにこだわりました。

(©KG/S, A, U)
(©KG/S, A, U)

ーー難しかった部分はどこ?

平面のアニメデザインを、瓦で表現することが難しかったです。たとえば、陰影の部分。イラストで影になっているところを瓦素材で表現するために、その箇所の彫りを深くしたり、逆に浅くしたり、光の当たり方を考えながら制作しました。

瓦モニュメント(©KG/S, A, U)
瓦モニュメント(©KG/S, A, U)

「全集中の呼吸」で制作

ーーどういった思いを瓦モニュメントやグッズに託して制作した?

ファンの方に、手にとってもらって喜んでもらいたい。アニメの雰囲気を出るように表現したい。
と思い制作しました。

(©KG/S, A, U)
(©KG/S, A, U)

ーー反響はどう?

全国からの想像を超える大反響で驚いています。期待に応えられるよう、引き続き気持ちを込めて「全集中の呼吸」で制作していきます。


ーー今回のコラボで目指すのは?

三州瓦・鬼瓦が全国にひろがり、「鬼師」「鬼瓦」の魅力を知ってもらいたいです。
 

ーー鬼瓦の魅力とは?

鬼師が作る日本の伝統技術、文化。厄除、守神など鬼瓦には意味があります。鬼師が心を込めて手作りしているところに魅力があります。

鬼師・鬼瓦の伝統を継承していきたいため。日本の歴史的建造物には欠かせない鬼瓦の技術は継承していかなければならないと思っています。
 

©KG/S, A, U
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鬼師が「満足です」と答える鬼瓦の出来栄え。昔からの伝統の技術が、話題のアニメとコラボすることで興味を持ってくれる人が増えるのではないだろうか。

なお、瓦モニュメントや瓦グッズの他にも、今回のコラボでは、スマートフォンで行われるデジタルスタンプラリーや、鬼師の指導による瓦粘土の型押し体験ができるワークショップなども実施されるという。
 

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プライムオンライン編集部
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