深刻な経営不振により一部区間の「廃止」が検討されている富山地方鉄道。
県と沿線自治体は来年度の赤字分を公費負担するとし、来年度は全線での運行継続が決まりました。

これは新田知事と沿線7市町村長、それに富山地方鉄道の中田邦彦社長が出席した検討会で決まりました。

厳しい経営が続く富山地方鉄道は採算がとれない本線の滑川・宇奈月温泉間、立山線の岩峅寺・立山間について、沿線自治体から支援などの方針が示されなければ来年11月末をもって廃線にするとしていました。

これまで県と沿線自治体は議論する時間が必要だとして、地鉄に廃止判断の先送りを求めるとともに、来年度に限って公的負担する方針を示していました。
そして24日…。

*新田知事
「富山地方鉄道に関する支援という考え方ではなく、鉄道ネットワークを維持するための公的負担として県と沿線自治体7市町村で収支差の一部を負担するスキームとしてはどうか」
県は来年度の運行を継続してもらうための特別措置として、来年度の赤字分を県と沿線7市町村、それに、地鉄の3者で3分の1ずつ負担する案を示し、地鉄と沿線自治体が了承しました。
これで来年度は現行通りのダイヤが維持されます。
地鉄の来年度の赤字は今年度と同じおよそ6億円となる見込みで、行政側の負担は4億円に上るとみられています。

*富山地方鉄道 中田邦彦社長
「公共交通ネットワークを維持するために必要な支援として、(県と沿線自治体が)負担するとのことだった。それには応じますと。来年度に限って(廃止判断の先送り)との話なので、来年度には(県と沿線自治体が)結論を出すと思っている」

一方、地鉄の本線はあいの風とやま鉄道と並行して走る区間があることから、沿線自治体からはあいの風の列車が地鉄の線路に乗り入れる可能性を検討すべきとの声があります。

*滑川市 水野市長
「中長期的なあり方を考える意味でも県が主導で、あいの風に議論に加わってもらう時期に来ている気がする」
*新田知事
「あいの風が地鉄の線路に乗り入れる活用の仕方も想定される訳だが、現状は課題がある」
*水野市長
「課題を承知の上で費用感を出していかないと。色んな選択肢を横並びにしないと選択ができないと住民から言われている」
*新田知事
「おっしゃる意味は良く分かりますが、あいの風も独立した民間会社で運営している。あいの風にいきなり依頼するのもどうかなと私の立場としては思うが、議論をしていきたい」
検討会の会長を務める富山市の藤井市長は...。

*検討会の会長を務める 富山市 藤井市長
「あいの風とやま鉄道と(沿線自治体の)分科会が議論する場は作ろうと思えばいつでも作れる。コミュニケーションをとって意見交換する場はあって然るべきと考えた」
地鉄の中田社長は廃止判断の先送りはあくまで来年度限りとしていて、再来年度以降の運行を巡る議論が今後本格化する見通しです。
(富山テレビ放送)
