仙台市の郡和子市長は12月23日の定例会見で、市内の市立小学校の給食費について、来年度から完全無償化する方針を明らかにした。
保護者負担はなくし、不足分は市が全額負担する。

仙台市ではこれまで、物価高騰による給食費の値上がり分を公費で補助し、保護者の負担軽減を図ってきた。
郡市長は会見で、「市民や市議会から完全無償化を求める要望を受けてきた」としたうえで、「国の制度の概要が示されたことを受け、判断した」と説明した。

国は、児童1人あたり月額5200円を支援する制度を示しているが、仙台市の小学校給食の食材料費は1人あたり月およそ7000円となっており、差額が生じる。
国の制度では、この差額を保護者から徴収することも可能とされているが、郡市長は「保護者に負担を求めず、市が不足分を負担し、完全無償化を実施したい」と述べた。

市によると、必要な財源は現時点で年間およそ10億円と見込まれており、今後、精査を進めるとしている。
郡市長は「子供たちに十分な栄養価のある給食を提供し、健やかな成長と子育て世帯への経済的支援として、子育てしやすいまちづくりを進めていきたい」と強調した。

実施のタイミングについては、「これまでも要望は多くあったが、国から具体的な基準額が示されたことが大きい」と説明。県内では気仙沼市などが先行して無償化を行っているが、「仙台市では独自実施の場合、年間38億円程度の財源が必要で、継続的な負担が難しかった」と述べ、国の枠組みを踏まえた判断だったとした。

一方、中学校の給食費無償化については、「仙台市独自での実施は相当な額となり、現時点では難しい」とし、今後も国に対して要望を続けていく考えを示した。

仙台放送
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