日本一小さな自治体、富山県舟橋村と世界一小さな島国ナウル共和国にユニークな交流が生まれている。互いの「小ささ」をきっかけに始まったこの意外な関係は、SNSを中心に多くの人々の注目を集めている。

この記事の画像(17枚)

SNSで見つけた思いがけない縁

舟橋村の渡辺光村長は時間があれば「舟橋村」というキーワードで検索し、世の中の関心度をチェックしているという。昨年秋、その習慣が思わぬ発見につながった。

「勝手に2024年11月に発信されてて僕が見つけたのは12月ぐらい。え?と思って」と渡辺村長は振り返る。

発見したのは、ナウル政府観光局がSNSで発信していた世界一小さな島国ナウルと日本一小さな自治体・舟橋村をデザインした記念バッジの販売情報だった。面白いと感じた村長がこのバッジを購入し報告すると、ナウル側から「ありがとう、ナウル島です」と返信があり、交流が始まったという。

人気急上昇中のナウル共和国

南太平洋に位置するナウル共和国は、日本から約5000キロ離れたハワイとオーストラリアの間に浮かぶ島国だ。面積はわずか21平方キロメートルで、世界で3番目に小さな国であり、島国としては世界一小さい。人口はおよそ1万2000人だが、そのSNS人気は驚異的で、Xのフォロワー数は58万人に上る。

特にナウル政府観光局が発信するゆるいコンテンツが「ナウラー」と呼ばれるファンの心を掴んでいる。

大阪・関西万博での出展も話題となった。本来展示する予定の物が届かず白い台座だけが置かれると、「心の綺麗な人には台の上の展示物が見えるはず」との投稿が拡散。多くの来場者が台座を見るために訪れる現象が起きた。

「札幌からこれを見に来た。Xでナウルをフォローしていてずっと見たくて探してきた」という来場者も。

広がる交流の輪

今年9月、舟橋村はこの盛り上がりを受け、大阪万博の会場でナウル共和国と広報連携の協定を締結した。すると、連携を聞きつけた「ナウラー」たちが独自にグッズを作って村に送ったり、突然訪問したりする動きが始まった。

村長室には、ナウルパビリオンのマスコット「ナウルくん」と富山の赤巻かまぼこや村商工会議所のマスコット「ばんどりくん」とのコラボグッズが並ぶ。渡辺村長は「まめに送っていただけるので、多分こういうところがナウラーの心をくすぐってるのかな」と語る。

ナウル共和国の人気は他にも広がっており、千葉県の銚子電鉄の駅命名権を取得して誕生した「ナウル共和国駅」には、全国から「ナウラー」が訪れている。

小さな交流から広がる可能性

舟橋村への具体的な波及効果はどうだろうか。渡辺村長は「目に見えてすばらしい効果は今のところまだない」としながらも、「一番大事なのは関係人口という観点で、舟橋村というワードを耳にして目にしていただく方が1人でも多くなれば、それで正直十分」と前向きに評価する。

互いの「小ささ」を武器に始まった舟橋村とナウル共和国の交流。SNSを通じて生まれた縁が、今後どのように発展していくのか注目される。

(この記事は富山テレビ放送と北陸中日新聞の共同企画『マンスリー北中タイムズ』から作成しました)

富山テレビ
富山テレビ

富山の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。