同性婚を認めない規定は憲法に違反するとして、2019年に同性のカップルらが一斉に国を訴えた裁判。
2025年11月28日、“最後”の二審判決となった東京高裁は「合憲」との判断を示した。
裁判は全国で6件起こされたが、「違憲」5件・「合憲」1件と高裁の判断が分かれた。「少数者の人権を守る最後の砦(とりで)」と表現されることもある最高裁は、どのような判断を下すのかー。
東京高裁は唯一「合憲」と判断
東京高裁は判決で「憲法24条は、歴史的、伝統的な婚姻形態である両性、すなわち異性の者同士が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として共同生活を営む人的結合関係を『婚姻』と定めたと解される」と指摘。
その上で、「同性同士の事実婚は憲法24条1項の『婚姻』には含まれず、憲法の婚姻の自由を保障されているとはいえない」と判断した。
また、原告側は同性婚を認める法制度がないことが法の下の平等を定める憲法14条1項に反すると主張したが、判決は国会で法案が複数回提出されるなど「全く取り組んでいない状況にはない」と指摘した上で、「まずは国会内で審議が尽くされるべき」とした。
原告の河智志乃さんは「想像もしていなかった判決の内容だった。司法とは何なのか。私たちを見ているのか。次の世代のことを考えているのか」と述べた。
原告らは、高裁最後に下された“まさかの合憲”に怒りの声を上げた。
原告ら「極めて不当」と上告
判決からおよそ3時間後、弁護団は、「これまでの積み重ねを一切無視した、唯一かつ特異な高裁による合憲判断であり、極めて不当であり、差別的ですらある」とする声明を発表。
「婚姻の自由と平等の実現、法律上同性の相手との婚姻を望む性的少数者の尊厳回復に向けた私たちの歩みは止まらない」と宣言した。
そして、今後については「本判決以外ではすべての高裁で明確に違憲と判断されたことを踏まえ、最高裁でも明確な違憲の判断が下されることを強く期待する。そして、国会には直ちに立法に着手することを強く求める」として上告することを明らかにした。
最高裁は、どのような判断を行うことになるのか。
12月3日、全国から原告が集まり、最高裁に対し、要請書を提出した。
それによると、裁判官15人全員が集う大法廷で審理し、当事者の声を聴く口頭弁論の機会を設けるよう要望。その上で、「人権のとりでとしての権威と責任をもって、明確な違憲判断を示して欲しい」と訴えた。
提出後の記者会見で原告の山縣真矢さん「20数年一緒に暮らしているパートナーが還暦を迎え、あと1年ほどで私も還暦を迎える。万が一、最高裁が合憲判決を出した場合、同性婚の問題はしばらく取り上げられない。生きている間に結婚できない可能性が強くなる」と訴えた。
フランスでは「同性婚が当たり前」に
フランスで自分たちの同性婚が認められているのに、日本では婚姻届が受理されないのは違法として、兵庫・尼崎市長を相手取り、家事審判を申し立てている日本人とフランス人の30代のカップルもいる。
渡邉・プロスペル・礼さんとプロスペル・コガリさんだ。
フランスで同性婚を認める法律が施行されたのは、2013年5月。2人は2018年にフランスで結婚し、現在フランスで生活している。
日本に一時帰国した記者会見前日の12月8日夜、青森県で震度6強の地震が発生し、その際にも不安を感じたという。
礼さん:
一時帰国中に何かあった場合でも、コガリは家族として判断や手続きが何一つできない。短期間の帰国ですら不安がある。日本で安心して暮らす姿は、現状では想像できない。
コガリさん:
フランスの法律は私たちを完全に正当に認め、法的な差別なく生きることを可能にしてくれた。そして今、10年以上経ち、同性同士の結婚は当たり前のものとなり、日常の一部になっている。私たちの結婚が両国で認められることを心から願っている。
同性婚を法的に認める国は増えており、日本はG7で唯一、同性婚や、婚姻と同等の権利を保障するパートナーシップ制度を国レベルで導入していない。
全国で起こされた6件の同性婚訴訟について、最高裁は早ければ2026年にも判断を示すとみられている。「人権の最後の砦」として、どのような統一判断を下すのか。難しい判断を迫られている。
(フジテレビ社会部司法担当 土門 健太郎)
