物価高、そして値上げという言葉が溢れた2025年。新たな年に頂く正月食材の価格はどうなりそうなのか?福岡で取材した。
鮮魚店も「こんな値段見たことない」
正月に向け、食材を買い求める人も多い年末。博多の台所『柳橋連合市場』(福岡市中央区)を訪ねた。

新鮮な魚が並ぶ鮮魚店の『船津商店』。博多雑煮に欠かせないブリの値段を尋ねてみると「養殖のハマチ、ブリは去年の1.5倍ぐらいを予想している」(『船津商店』舩津健一さん)という返答。

理由は、養殖用の稚魚が少なかったためで、入荷量も減り、2024年の1.5倍ほどの高値になる見込みだという。天然物は、今後の漁獲状況で変わるが、平年通りであれば100グラム500円前後で販売されるということだ。

そして、子孫繁栄を意味する魚卵。正月用食材として欠かせない。カズノコは例年とほぼ変わらない価格となる見込みだ。

しかし、その一方で異常な高値になっている魚卵がある。それは―

イクラだ。『船津商店』の舩津さんも「イクラはすごく高い。去年と比べて2倍まではいっていないが、1.7~1.8倍ぐらいの値段。こんな値段見たことない」と驚きの表情をみせるほどだ。

サケの不漁で、2024年も高騰していたイクラは、一段と高値になった。2025年の春頃は3000円ほどだった冷凍のイクラの醤油漬は、1パック7560円で販売されているのだ。

舩津さんは「正直、去年よりも高くなったものは増えているが、特別な年末年始に良いものをぜひ食べてもらいたい」と話していた。
博多雑煮に欠かせないカツオ菜は?
一方、野菜はどうなのか?青果店では博多の雑煮に欠かせないカツオ菜が並び始めていた。2025年は出来が良く、しっかりと葉の縮れがあるため、カツオ菜独特の深い風味を楽しめるとのこと。気になるのは値段の見通しだ。

『八百谷』店主の谷岡哲雄さんは「今のところは落ち着いている。大体240~250円で販売している。平均的な値段。これが来週の後半から年始にかけては、ちょっと上がると思う」と話す。

このまま安定した天候であれば、年末でも300円から330円ほどと例年並みになるのではないかということだ。
甘味のある身と濃厚なカニミソ
一方、食卓を豪華にしてくれるカニ。年末恒例のセール(~2025年12月30日)が開かれている福岡市早良区の直売所では、ズワイガニやタラバガニを“お値打ち価格”で手に入れることができる。

2025年の値段について『TMフーズ』工場長の永友浩史さんは「去年に比べて2~3割は上がってきている。世界情勢が一番大きい原因。カニ自体の漁獲量というよりは、入ってくる量や出ていく量が年々変わってきている」と話す。

仕入れ価格は高騰しているが、手に取りやすいように2024年とほぼ変わらない値段で販売するということだ。

そんな店のオススメは、ボイルしていない生のタラバガニ。同じ1キロサイズのものをボイルは1万1000円で販売しているが、生は9000円で販売されている。旬の時期に大量に仕入れたことで安く販売できるという。

さらに、ここ数年、北海道で大量に水揚げされ“お手頃感”があるのが、オオズワイガニ。甘味のある身と濃厚なカニミソが味わえる。
永友工場長は「仕入れ値は、なかなか厳しくはなっているが、美味しいもの食べて、笑顔になってもらって、新しい年を迎えてもらいたい」と話していた。
止まらない物価高の中で迎える2026年。出費を抑えながら明るい新年のスタートにしたいものだ。
(テレビ西日本)
