シリーズ年末回顧。4回目は2024年の「令和の米騒動」に始まり、2025年も続くコメ価格の高騰です。政府の備蓄米放出などの措置が取られましたが、価格は安定せず家計が揺らぐ1年となりました。

◆安いコメを求める消費者、入荷を待ち続けたスーパー…コメ農家は希望と不安

Q:今年、コメはどうだった?
(まちの人は…)
「大変な年だった。毎日スーパーに行ってきょうは(備蓄米が)あるかどうか何軒か回った」
「高い。(5キロ)3500~3600円になってくれたら。無理だろうけど」

(飲食店を経営する人は…)
「値段はまだきつい、昔に比べると。身銭を切ってやっているという感じ」

(小売店・グランドマート 岡本和恵取締役)
「不透明な1年で、すごく大変な1年だった。おととし(2023年)の夏ごろからずっとコメ不足が続いていて商品を集めてくるのが大変だった」

(生産者・西村農園 西村良一代表)
「希望と不安。去年に続いて今年も(コメの価格が)高くなる予想が出ていたのでそれに対する希望と、いかにいいものを作っても(安いコメが)海外から入ってくるとなれば日本の農家も衰退していってしまうのでは」

私たちの主食のコメを巡っては、消費者や小売店、生産者の立場から様々な意見が聞かれました。

◆11月下旬にはコメ価格が「過去最高」に この1年の価格推移は

(森岡紗衣記者)
「2024年の夏に始まった「令和の米騒動」。外国人観光客の消費拡大などで店頭から一時姿を消したコメは2025年になって在庫が回復した後もその価格が高騰し続けました。家計に大きな影響を与えたコメの価格ですが、11月下旬には過去最高となりました。直近は5キロあたり4321円とわずかに下がりましたが、依然として高止まりしています。価格の推移から1年を振り返ります」

◆高値を更新し続けるコメ平均価格 少量サイズのコメや「押し麦」が異例の人気に

農林水産省が毎週公表している、全国のスーパーなどで販売されるコメの平均価格。2025年も記録的な高値を更新し続けました。25年5月には当時、過去最高となる4200円台に。

岡山市のスーパーでは。

(客は…)
「高くてどうしようかと思う。きょうは(購入を)諦めて帰る」
「(子供たちが)白米が大好きなのでたくさん食べられるように安くなってほしい」
「コメだけでなく他のものも値上がりしているのでだんだん厳しくなってきている」

家計への負担を少しでも減らそうと、2キロの少量サイズのコメや、かさ増しの「押し麦」などが異例の人気となりました。

◆岡山市南区の農家にはコメの盗難被害

そうした中、岡山市南区の農家ではこんな被害も。

(被害に遭った農家)
「30キロが10袋(盗まれた)」
「60年間で初めて。ショック」

かつてないコメの価格高騰に影響は広がりました。

◆政府の備蓄米放出 販売する店によっては整理券を求める消費者の行列も

6月に入るとコメの価格が下がり始め3000円台に。その要因が政府の備蓄米放出です。

〇6月11日
(奥原怜奈記者)
「店頭に並んだ備蓄米がこちら。5キロ約2000円と手頃な価格となっています」

消費者にとっては待ちに待った備蓄米ということで。

〇6月12日
(早川祐貴記者)
「数量限定の販売ということで店の外には整理券を求めるお客さんで行列ができています」

(備蓄米を購入した人は…)
「うれしい。安く買えたから。普通のご飯はだいぶ高いから」
「ほかの物も高くて大変。やっと買えた」

◆新米の登場でまたもコメ価格は上昇…農家に仮払いする概算金は前年の約5割増に

備蓄米に加え、店頭には外国産のコメやブレンド米なども出回り、価格は順調に下がっていきました。しかし、8月には、過去3年で最大の上げ幅を記録。さらにその後も価格は上昇し、再び4200円台に戻ってしまいます。

その要因となったのが新米です。流通する価格に応じて買い取り価格が引き上げられ、岡山県内のJAでも農家に仮払いする概算金が2024年の約5割増となる3万円となりました。

(西村農園 西村良一代表)
「あまり高いと農家も喜んでくれない。相応の相場でみんなにおいしいと食べてもらうのが農家の考え。一般(の感覚)に合った値段で釣り合いがとれて、農家が食べていけたらいい」

◆岡山市のスーパーでは新米が4800円前後 客の買い控え傾向にスーパーは…

卸業者が高い値段で仕入れたコメを小売店が安い価格で販売するのは難しく、12月は4300円台と過去最高の水準で推移しています。

そうした状況を受け岡山市のスーパーでは、12月12日、5キロの新米が4800円ほどで並べられていました。客の買い控えにもつながっているということです。

(グランドマート 岡本和恵取締役)
「スーパーとしては5キロ3000円に近い所にしたいという思いがある。コメ離れが続くよりお金に変えなければならないので、今ある在庫を消費者が買ってくれる価格に卸業者下げてくれるのが一番。(Q:価格は2026年以降どうですか?)今の価格が高い高いといわれるが、スーパーの業界や米屋の業界ではこれが一般的にならないと、それぞれの業界が続いていかないんじゃないか」

◆コメ減産にかじを切ろうとしている高市政権 価格の行方は不透明

(森岡紗衣記者)
「2025年の1年、価格が安定せず家計を揺さぶったコメですが、消費者から見るとやはり安い方が良いと感じますよね。ただ、物価が高騰する中、生産者のコストも上がっていて、適正な価格はどこなのか、考えさせられる1年となりました。

また備蓄米放出やコメの増産に踏み切った石破政権が高市政権に変わり、コメを減産する動きが出ています。今後、価格が安定するかは、見通せない状況となっています」

岡山放送
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