コメの価格高騰が続く中、お正月の定番である「餅」の値段にも大きな影響が出ている。原料のもち米の仕入れ値が大幅に上昇していて、餅店では価格の見直しを迫られている。
3年で2.5倍に高騰したもち米価格
お正月に欠かせない餅。街の人からも「正月はやっぱり雑煮。すきやわ~」「餅は絶対に食べる。やっぱりお雑煮は必須」といった声が。
しかし、近年のコメ価格高騰はもち米にも波及している。実際、「いつも頼んでいる餅の値段が倍で高くてびっくりした」という声も聞かれた。
福井市にある創業164年の老舗「餅の田中屋」では、現在も正月用の餅の注文を受け付けている。製造のピークを迎える28日頃からは、1日に約1万個を製造するという。
しかし、田中秀信社長は「仕入れ値が3年前の約2.5倍近くに上がっている」と、ここ数年続くもち米価格の急上昇に頭を痛めている。

田中社長によると、もち米の仕入れ値は3年前は1キロ400円だったが、今年は1キロ1000円ほどに上昇。「これだけの高値は経験したことがない」と話す。
「手に取ってもらえなくなるのでは…」と価格を抑える
こうした原料費の高騰を受け「餅の田中屋」では鏡餅1升1重の販売価格を、2年前の2500円から、去年は3000円、そして今年は3750円へと年々値上げせざるを得ない状況となっている。

田中社長は「商品の質は落としたくないので、お客様にはご迷惑をかけるが、値段は早めに上げさせてもらっている」と話す。
というのも、もち米の取引価格は主食用米の後の11月に決まるため、例年どうしても餅の需要が高まる年末年始になって値上げせざるを得ないのが実情だ。しかし12月に入ってから値上げをすると「お客様は11月は安かったのに何で高くなったのとなるだろうし」と苦しい心情を明かす。
ただ、田中社長は日本伝統の食文化を守るためにも、値上げの幅を抑えているという。「本来であれば価格をもうちょっと上げないといけないが…あまり上げすぎても買い控えで手に取ってもらえなくなると思うので」。
おととしから去年にかけての値上げでは、実際の売り上げに大きな影響はなかったそうだが「更に値上がりした今年は、どうなるか分からない…」と不安を口にする。
正月に欠かせない「餅」。今年の価格は消費者に受け入れられるのだろうか。
