高市政権の経済対策の目玉となる「重点支援地方交付金」。物価高対策として家計を応援することを目的とし、鈴木憲和農林水産大臣が活用例として「おこめ券」の配布を挙げたが、自治体からは発行や郵送に手間がかかると反発の声も上がっている。各自治体はどう活用するのか、福井県内の全17市町に独自調査した。

物価高対策としての「おこめ券」活用の問題点

政府は、物価高対策として地方が自由に使える重点支援地方交付金を、補正予算案で2兆円計上。県内17市町には合わせて約50億円が配分される見込みだ。

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政府は自治体に使い道を指定しているわけではないが、農水大臣がコメの価格高騰を背景に活用例として「おこめ券」の配布を挙げた。JA全農などが発行するいわゆるお米ギフト券は1枚で440円分のコメと引き換えられるが、使い道は限定される。

県民からは「印刷するのもお金がかかるし無駄なので意味がないと思う」「おこめ券をもらっても…それを価格に反映して欲しい」という声が上がった。

配布する可能性がある自治体は“ゼロ”

福井テレビが県内の17市町を独自で調査したところ、全ての自治体が検討中としながらも、現時点で配布する可能性がある自治体はゼロだった。

配布予定がある市町はゼロ
配布予定がある市町はゼロ

「おこめ券」を選択しない理由について、嶺北のとある町は「うちの町は農村地帯にあり農家から直接、コメを買う人も多く、おこめ券は必要ない」と説明。また、同じく嶺北のとある市は「コメに限らずもっと幅広く使える商品券などがいいのでは」との見解を示した。

具体的な検討が進む自治体では、地域独自の商品券を発行したり水道料金値下げの財源にしたりといった案を検討していることを明らかにした。

福井市は県産米の購入補助券の追加配布を検討

ただ、この中で唯一「おこめ券」に近い案を検討しているのが福井市だ。福井市では、これまでに子育て世帯と65歳以上の世帯に「まんぷく券」と題し県産米の購入券5000円分を配布している。

子育て世帯と高齢者世帯にすでに配布
子育て世帯と高齢者世帯にすでに配布

市の担当部長は「米価高騰による市民生活への影響が続いていくことを踏まえ、まだ配布されていない世帯への配布を検討したい」と今回の政府の交付金を活用して、これまで対象外だった世帯にも追加配布することを検討しているという。

配布対象の拡充を検討
配布対象の拡充を検討

福井市民からは「おコメは毎日食べるものなので助かる」という声がある一方、「野菜なども買える券の方が嬉しい」という意見も聞かれた。

福井市では、近く配分される交付金の額に応じてどれくらいの世帯にまで「まんぷく券」を追加配布できるのか検討している。

物価高で出費が増えている中、より多くの人にメリットのある交付金の使い道が期待される。

福井テレビ
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