プレスリリース配信元:株式会社ライフスケープマーケティング
~おせち料理の変遷と将来の可能性を食MAP(R)にて調査~

2025年も残すところ2週間。年末年始には家族や親戚、友人たちとごちそうを囲むことを楽しみにしている人も多いのではないでしょうか。数々のごちそう料理の中から、今回食MAPで注目したのはお正月の食卓を彩る「おせち料理」です。
今、おせち料理は家庭でどの程度食べられているのか?この先日本のおせち文化はどう変わるのか?おせち料理の変遷、将来の可能性を、食MAPデータを用いて探っていきます。
令和のおせち料理は昼食シーンで健闘中
まず最初に、現在どれぐらいの家庭でおせち料理が実施されているのかを見ていきましょう。
【図表1】はお正月に家庭内での食事があった世帯に占める和風おせちメニュー経験世帯の割合(以下、経験世帯率)の経年推移を示しています。

【図表1】分析対象:家族世帯,分析期間:2001~2025年 1/1~3(正月三が日),食卓機会:三食計、朝食、昼食、夕食,分析メニュー:おせちメニュー(和風),指標:分析メニュー経験世帯率
朝昼夕を合算した三食計での経験世帯率を見ると、25年前、和風おせちメニューは8割超の家庭の食卓に上がっていました。その値は現在まで緩やかに縮小し続け、2025年現在では66%となっています。縮小の事実はある一方、和風おせち料理が現代においても7割近くもの家庭で食べられていることは意外な結果であると感じられます。
この現象には、昼食シーンの経験世帯率が影響してると見られます。経験世帯率を食シーン別に見ると、朝食、夕食では長期的に縮小していますが、昼食はこの15年ほどは横ばいの推移をしています。この昼食における和風おせちの健闘が、伝統的な日本のおせち料理の継承に一役買っているのです。
また最近は、伝統的なおせち料理のあり方に縛られない様々なジャンルのおせち料理が増えてきました。中でも「洋風おせち」というワードはすでに聞き馴染みのあるジャンルの1つです。
次は、その洋風おせちメニューについて、お正月の経験世帯率の推移を見てみます【図表2】。

【図表2】分析対象:家族世帯,分析期間:2001~2025年 1/1~3(正月三が日),食卓機会:三食計、朝食、昼食、夕食,分析メニュー:おせちメニュー(洋風),指標:分析メニュー経験世帯率
洋風おせちメニューの経験世帯は2025年時点で和風おせちメニューの3分の1ほどとまだまだ小さいですが、2021年以降その値は徐々に伸びており、家庭への浸透は進んでいると言えます。
食シーン別では、洋風おせちメニューも和風同様、やはり昼食で好調であることが分かります。
この令和の時代にも、おせち料理が一定の支持を集め続けているのはなぜでしょうか。要因は様々にあると思われますが、1つには生活者の「簡便ニーズの強まり」があると考えます。
おせちメニューといえば、日持ちしやすいものが多く、買い込んでおけばしばらくは調理をしなくても食事の支度を済ませることができます。また、近年は冷凍で自宅まで配送することもでき、買い物に出る手間もかかりません。さらに、今回取り上げた洋風のほか、中華風や甘いもの限定など、内容のバラエティも多岐にわたり、家族の好みに合わせた選択もしやすくなりました。
これらの進化を遂げた令和のおせち料理は、生活者にとって”お正月調理キャンセル"を叶える救いの一手として求められているのではないでしょうか。
お正月ごちそう需要の裏にワンプレートご飯・麺のチャンスあり!
【図表3】ではおせち系メニュー全体の経験世帯率の推移を表しています。

【図表3】分析対象:家族世帯,分析期間:2001~2025年 1/1~3(正月三が日),食卓機会:三食計、朝食、昼食、夕食,分析メニュー:おせちメニュー,指標:分析メニュー経験世帯率
2025年時点で、約7割の世帯で和洋問わず、何らかのおせちメニューを正月三が日に食べていると読むことができますが、これはつまり、残り3割の世帯では正月三が日におせち料理を全く食べていないということでもあります。ではこの3割の世帯は、お正月に何を食べているのでしょうか。食シーン別に見ていきましょう。

【図表4】分析対象:家族世帯,分析期間:2023~2025年 1/1~3(正月三が日),食卓機会:朝食,指標:TI値(1000食卓あたりの出現回数)、TI値差分
朝食まずは朝食です。【図表4】を見ると、パン類やシリアルにヨーグルト、バナナ、目玉焼き・ハムエッグといった洋軽食メニューの出現が多くなっています。おせち無し朝食卓では、「おせちは無いが餅は食べる」ということもなく、日常的な食事をとることが多いようです。
中にはお正月から仕事がある世帯もあるのかもしれません。

【図表5】分析対象:家族世帯,分析期間:2023~2025年 1/1~3(正月三が日),食卓機会:昼食,指標:TI値(1000食卓あたりの出現回数)、TI値差分
昼食続いて昼食です。【図表5】を見ると、ラーメンやスパゲティー、カレーライスといった主食一品完結メニューが上位を占めており、やはり朝食同様、日常的なメニューが食卓に並んでいる様子がうかがえます。

【図表6】分析対象:家族世帯,分析期間:2023~2025年 1/1~3(正月三が日),食卓機会:夕食,指標:TI値(1000食卓あたりの出現回数)、TI値差分
夕食最後は夕食です。【図表6】より、団らんメニューのすき焼き・しゃぶしゃぶや和風鍋などが上位にあることが分かります。
一方で、昼食にも好調だった主食一品完結メニューがここでも上位に並んでおり、おせち無し食卓での存在感の強さを示しています。
おせち料理のない食卓では、三食どのシーンにおいても季節感やイベント感を問わない「いつも通りの食」に対して一定のニーズがあると見られます。中でも昼食・夕食ともに上位ランクインを果たしているカレーライスや温かい和風麺、スパゲティー、ラーメンなどは意外なお正月訴求メニューとしてのポテンシャルを秘めていそうです。
洋風おせちが未来のおせちの新定番として台頭?
さて、視点を再び「おせち料理のある食卓」に戻します。
前述の通り、近年お正月の食卓では洋風おせちの浸透が進んでいます。これは、あくまでも過去から現在までの傾向です。では、未来の食卓ではどうでしょうか。

【図表7】分析対象:家族世帯個人,分析期間:2001~2025年 1/1~3(正月三が日),食卓機会:三食計,分析メニュー:おせちメニュー(洋風),指標:分析メニュー経験世帯率(移動平均)
【図表7】は未来の正月三が日の食卓で洋風おせち系メニューを食べる世帯割合の予測値です。予測値のうち、1.保守的予測は、現時点での社会状況が今後も継続した場合、2.進歩的予測は、直近10年間の社会トレンドが今後継続した場合の値です。食MAPの将来予測分析では、未来の値は2パターンの予測の間に収まると推測します。
今回分析した洋風おせち経験世帯率は、2025年比で5年後の2030年に103%~113%、10年後の2035 年に2025年比107%~126%と増加の予測です。
伝統に縛られず、子供でも食べられるメニューを多く詰め込んだ洋風おせちは、将来は和風おせちと並ぶ日本のお正月行事食の新定番となっていくことが期待できそうです。
今回の将来予測分析は洋風おせちメニューの分析にとどめますが、では、和風おせちの将来はどうなるのでしょうか。現状の食卓シェアの大きさ、過去から現代までの変化の様子を見れば、洋風おせちとは異なる予測が得られる予感がします。
本記事でご紹介した通り、食MAPは過去20年以上の食卓実態だけでなく、未来の予測分析にもご活用いただけます。分析はメニューや食材、さらには生活者の意識など、様々な視点から実施することが可能です。
分析についてご興味がございましたら、下記のお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
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