深夜の飲食店で、客と店側との間に騒ぎが起きた。男性客は従業員など店側の人間によってソファに押さえ込まれ、助けに入った男性客の妻が店側の人間の後頭部を殴った――。

店主や従業員がけがをし、店側と客側の双方が「自分こそ被害者だ」と損害賠償を求めて裁判に発展したものの、やや肩すかしの結末に…。
裁判所が下した現代の「けんか両成敗」とは。

未明の取っ組み合い

この裁判の原告は、飲食店を経営する店主の女性とその夫、従業員2人の計4人。被告は、店を訪れていた客の夫婦だ。

騒ぎは2023年11月の未明、東京都内の飲食店で起きた。店は時間制の飲み放題を基本料金とする営業形態で、当時、店内には複数の客がいたという。

原告側の店主の夫は、客として飲食をしていた。

被告の夫婦は午前0時すぎに来店し、テーブル席に着いた。ほどなくして店内でトラブルが発生し、従業員が警察に通報。このトラブルがどんなものだったのか、原告と被告とで主張が真っ向から食い違っているが、夫婦は、暴行と傷害の容疑で逮捕された(のちに嫌疑不十分で不起訴)。

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原告側の店主の夫は救急搬送され、CT検査を受けた。医療機関の診療記録には、「男女が口論になり、男性を押さえつけていたところ、女性から後頭部を複数回殴られた」などと記載があった。
後日、医療機関を受診し、頭部打撲での全治5日などと診断されている。

このほかに、店主の女性が頭部打撲や右頬部咬傷など、従業員2人も爪剥離や打撲と診断されている。