不適切な党員登録問題で揺れる自民党の田畑裕明衆議院議員への聞き取りが13日行われた。党本部の意向を受けたもので、田畑議員は一連の不祥事について「政治不信を起因させたこと、改めて深くおわび申し上げます」と陳謝した。しかし、県連や市連との溝は依然として深く、前富山市連支部長の中川忠昭県議は「距離は全然縮まっていない」と述べ、対立が解消されていない状況が浮き彫りとなった。


党本部が事態収拾を指示、地元総意をまとめる動き

自民党富山県連と富山市連は、無断で262人を党員として登録した問題などを受け、次期衆院選の富山1区支部長に田畑議員を選任しないとしている。これに対し田畑議員は「公認を決めるのは党本部」と主張し、対立が続いていた。

こうした状況を打開するため、自民党本部が事態収拾を指示。13日、田畑議員への聞き取りが実施された。この場には県連執行部や富山市連の議員、さらに党選挙対策副委員長を務める橘慶一郎衆議院議員も立ち会った。
田畑議員、弁護士による調査報告書を初めて提示

聞き取りで田畑議員は約30分にわたり一連の不祥事について説明。本人に無断で党員登録を行い、企業からの寄付金を党費に充てていたとされる疑惑について、初めて弁護士による調査報告書を提示した。

しかし、自身の関与を否定する新たな証拠はなく、これまでと同じ説明を繰り返すにとどまった。田畑議員は「私を支援する企業からの第一選挙区支部への寄付金を党費の支払いに充てていた点については、弁護士による客観的な調査の結果、そのような事実はなかった。第一選挙区支部の収支報告書に党費に関する不記載や虚偽記載はない」と主張した。
「ご入金のみ」パーティー問題についても釈明

また、2024年6月に開催を予定していたいわゆる「ご入金のみ」のパーティー問題についても説明があった。政治資金パーティーの案内に「ご入金のみ」の項目を設けたことが、政治資金規正法で禁じられている寄付にあたると指摘されていた点について、田畑議員は「当事務所として私として寄付を求める意図は全くなかった。入金があり欠席された方には対価として国政報告資料を後日届けていた」と釈明した。

そのうえで「有権者に誤解を与える表記であったことを多くの方々からご指摘を受けた。今後一切このような表記は行うことはない」と述べた。
「チャンスをお与えいただきたい」と訴えるも溝は埋まらず

田畑議員は一連の問題について、政治家としての倫理観が不足し、金銭管理に対するマネジメントにも問題があったと陳謝。「許されるならば、どうか皆様とともに働くことができるチャンスをお与えいただきたい」と訴えた。
聞き取りの後には非公開で質疑応答が行われ、6人の議員が質問。出席者によると、党から公認が得られなかった場合、出馬しないよう求める意見も上がったという。

聞き取り後、取材に応じた前富山市連支部長の中川忠昭県議は「本人は県連や市連と一緒に仕事をしていきたいと言っていたが、いままでチャンスがありながら私たちに働きかけがなかった、そのことに尽きる」と述べた。さらに県連市連との距離については「全然縮まっていない」と述べ、対立解消の見通しが立っていないことを示した。
年内に市連としての総意を党本部に報告へ
自民党本部はこの聞き取りを踏まえ、市連としての総意を今月中に報告するよう求めている。これを受けて市連は、12月18日の常任総務会と21日の支部長幹事長会議で意見を集約する方針だ。

橘慶一郎衆議院議員は「弁明の機会を与えて総意をあげてもらうことについては納得感のある形で決断していく対策委員会としての思い、そのプロセスをこれから進めていく」と今後の対応を述べた。
(富山テレビ放送)
