しかしこの時もフリーでのミスが響き、順位を落として3位で終えた。3年ぶりのGPシリーズ表彰台だったが、試合後に友野は涙を流した。
GPファイナルは、GPシリーズを勝ち取った上位6人のみ進出が許される。日本男子からは鍵山優真と佐藤駿がすでに進出を決めていた。
日本勢3番目のポイントを獲得した友野だったが、わずかにポイントが足らずファイナル進出を逃す形となった。
初めて流した悔し涙に…
11月末、GPシリーズの戦いを終えた友野に再び会いに行き、全日本前の最後の取材を行った。
そこにいつもの笑顔はなかった。
友野はまず、GPシリーズをこう振り返る。
「今までのGPとはまた違った悔しさのある試合でした。全日本の前のGPファイナルを1番の目標にして取り組んできていたので、結構立ち直れるかなっていうくらい悔しかった…」
スケートアメリカの試合後、友野は珍しく涙を流していた。
「感情が出てコントロールできない状態は、今まであまり経験したことがありませんでした。悔しくて涙が出たり、そういう自分にびっくりしましたが、ここまで悔しがれるんだ、ということも思いました。
でも、また一歩成長するのに必要な時間だったと今は思います。心の底から泣いたのは初めてで、映画でも良くて泣くことはありますが、僕はあまり泣かないのと、悔し涙は初めて。いろいろと込み上げて泣いた感じだったので、マジでびっくりしましたね」
続けて、この時の心境を語る。
「自分の中で初めての感覚だったというか、ポキッと折れることないんですけど、やっぱりショックだった。大体寝たらいけるんですけどあまり立ち直れず。家に帰っても外に出られないこともありました」
そんな心が折れかけた友野を突き動かしたのは、幼少期から指導するコーチの存在だった。
