後発地震注意情報が発表される中での12月12日の地震でしたが、宮城県石巻市の施設では、医療的ケアが必要な人など、災害弱者と呼ばれる人たちを守るため、今できる備えが進んでいます。
記者リポート
「石巻市にある高齢者施設です。さきほど、津波注意報が解除されましたが、度重なる地震によって、緊張感が高まっています」
こちらの施設では、医療的なケアが必要な人や移動に介助が必要な高齢者など27人が入居しています。
12月9日に後発地震注意情報が発表されたことを受け、災害時の対応を見直し始めたばかりでした。
SUNSUN ISLAND石巻 深堀加織施設長
「前回の注意報を受けてから、会社としても備蓄を増やす発注をかけたり、もう一度避難誘導のルートだったり、優先順位だったり、実際に波が来たらどうするとか、このぐらいの期間身動きとれなくなったらどうするのかとか、シミュレーションを含めて、検討している状況」
施設のマニュアルでは、津波注意報の場合は通常通りケアを続けます。
一方、津波警報の場合は、1階にいる3人の利用者を車いすを使って2階以上に垂直避難させる計画ですが、避難した後も課題が残ります。
停電もその一つ。医療的ケアが必要な人たちは、医療機器を使うことがほとんどで、停電した場合、それは“命の危機”に直結します。
SUNSUN ISLAND石巻 深堀加織施設長
「これが電源、切れちゃうと酸素が必要な人に行き届かなくなる。非常電源だったりとか、使えるようにしないと、いざというとき、使えないのは、ご本人たちの生命維持に直結するので。平常時と変わらない心持ちで、職員も利用者と向き合っているが、津波注意報の音が鳴ると、職員も利用者も一気に緊張感が走る状態になるので、我々がフォローしながらやっている」
地震学が専門の東北大学の遠田晋次教授は、12月12日の地震は12月8日の深夜に発生した地震の余震としたうえで、「震源の深さ」に違いがあると説明します。
東北大学災害科学国際研究所 遠田晋次教授
「今日の地震の震源の深さは20キロくらいなんです。どういうことが起きているかというと、太平洋プレートが陸の方に沈み込んでいきますが、それのちょっと深いところで起きたのが本震で、そのときに少しずれが生じたわけです。そのずれによってしわ寄せが浅いところに行っていて、浅いところでその後、広い意味では余震なんですけど、違う場所で地震を起こしてきている」
12月8日の深夜に発生したマグニチュード7.5の地震の震源の深さはおよそ54キロ。
その後、9日から10日にかけて、この地震の余震活動として、深さ10キロから30キロの比較的、浅い場所を震源とするマグニチュード6前後の地震が3回発生。
津波注意報が発表された12日午前11時44分ごろの地震も震源は深さおよそ17キロで、余震の震源域が徐々に浅くなっていることがわかります。
活発な地震活動が続く青森県東方沖。遠田教授は、同じ規模の地震でも震源が浅ければ、海水へのエネルギーがより大きく伝わり、大きな津波の発生につながるとして、警戒してほしいと話します。
東北大学災害科学国際研究所 遠田晋次教授
「浅いところで前回(8日)と同規模、もしくはマグニチュード7くらいでも、震源が浅くなると、海底面が大きく動く。海水に与える影響が大きくなって、もっと大きな津波が来る可能性がある。本震よりも規模が小さいからと言って油断はできないと思います」