新潟県議会の厚生環境委員会で県病院局は、国の補正予算による医療機関への支援を活用し、県立病院の運転資金にあたる内部留保資金の25年度末の枯渇は回避できるとの見通しを示した。一方で県議からは病床数や分娩の休止をめぐり、質疑相次いだ。
県立病院 国補正予算活用で運転資金枯渇“回避”の見込み
経営難が続いている新潟県立病院。県議会の厚生環境委員会でも議題に上がり、県病院局が県立病院の経営改革の取り組み状況を説明した。
25年度の決算見込みは38億円の赤字で、これまで25年度末にも運転資金にあたる内部留保資金が枯渇するとの見通しが示されていたが、金井健一病院局長は「機械的な試算では国からの補助金額は合計、現時点で8億円となる見込み。この補助金を現時点での決算見込みに反映した場合、25年度末の内部留保資金枯渇は回避できる見通しとなる」と説明した。
金井局長は、国の補正予算による支援が8億円ほどになり、25年度末の内部留保資金の枯渇は避けられるとの試算を示した。
こうした中、人事委員会の勧告を受けながらも26年3月への先送りを検討していた県立病院職員の給与引き上げについては、26年1月下旬をメドに判断するとした。
十日町の医療は…病床数・分娩休止めぐり質疑相次ぐ「ダブルパンチ」
一方、委員からは新潟県十日町市の県立松代病院を入院機能を持たない無床診療所とする方針や十日町市内で唯一分娩機能を持っていた『たかき医院』が分娩を休止することをめぐり質疑が相次いだ。
自民党の尾身孝昭県議は「松代病院のベッドが十日町市からなくなる。今度は分娩もできない、ダブルパンチ」と意見。
真政にいがたの八木清美県議も「松代と十日町は冬場では車で1時間以上かかり、急患の場合には生死に関わる事態になりかねない」と訴えた。
県病院局は、県立十日町病院での病床数を250に増やすとしたほか、訪問診療の課題の洗い出しのため26年1月にデモンストレーションを実施するなど対策を説明したが、県病院局経営企画課の田中秀明課長は「今のところ医師確保に向けて確定的な見込みが立つという状況にはなっていない」と分娩機能については確保の見込みが立っていない現状を明かした。
経営難が続き、医療資源も限られている中で地域の医療をどう守っていくのか、議論が続いている。
