大阪のマンション価格の高騰が止まりません。

億越えが当たり前になりつつある中、「newsランナー」では商談現場を取材。

そこで繰り広げられていたのは「1億2000万円やったらちょうどよくて」「“もの”がめっちゃいいですね。新築の時が7000万円ぐらいかな」という信じられない金額のやり取り。

大阪の不動産を取り巻く実態と、今後の展望に迫りました。

■新築時から3倍 マンションの値上がり率世界1位の実態

日本第二の大都市「大阪」をめぐり先日、発表された衝撃の調査結果。

大阪市のマンションの値上がり率が、世界の主要都市の中で1位だったというのです。

今、大阪の不動産に何が起きているのか。

その実態を探るため取材班は関西でタワーマンションの売買をしている会社を取材。

案内してくれたのはグランフロント大阪に隣接するマンションの部屋です。

【TOWERZ仲介事業部 黒岩晃平係長】「最近話題のグラングリーンが眺望として見ていただけるお部屋になっております」

大阪駅に徒歩圏内と抜群の立地を誇るこちらの物件、そのお値段は?

(Q.どのくらいのお値段なんでしょうか?)
【TOWERZ仲介事業部 黒岩晃平係長】「2億4990万円です」

さすがの価格…しかし、驚くのはまだ早いのです。

【TOWERZ仲介事業部 黒岩晃平係長】「この部屋元々は、全然1億円以下で買えたお部屋でございます」

なんと新築時と比べて3倍以上の価格で取引されているのです。

そしてこういった価格高騰は、グラングリーン大阪の一部が開業した大阪駅の近辺だけではなく、市内中心部の多くのエリアで起きています。

■どのような人が購入するのか? グラングリーン大阪の物件も購入した男性の商談に同席

一体、ここまで高騰した物件をどのような人たちが購入しているのか。

今回、大阪市西区にある不動産業者が、特別に実際の商談に同席させてくれました。

この日訪れたのは30代のマツナガさん(仮名)。

【不動産仲介コモン 武本健太朗代表取締役】「この辺とかって今、大阪で最高層のマンションなので、それのプレミアムフロアなので、ここはね面白いですね」
【マツナガさん】「金額帯かなり高くなってきてますけど…」
【コモン 武本健太朗代表】「3年前とかって1億の壁やったのが、今やっぱ2億~3億ぐらいまで(売れる)。この辺の価格やったら全然まだまだいけるんじゃないですかね」

マツナガさんは上場企業に勤める会社員。不動産を「資産形成」の一環として売買しています。

【コモン 武本健太朗代表】「あとはこれですね、最近の中津エリア」
【マツナガさん】「いいですねえ。1億2000万円やったらちょうどよくて」
【コモン 武本健太朗代表】「“もの”がめっちゃいいですね。新築の時が7000万円ぐらいかな」

提案されるのは、どこも1億円を超えるような物件ばかり…。

マツナガさんは10年ほど前から投資を始め、これまでの総額で3億円ほどの利益を得ているということです。

【マツナガさん】「梅田(中津)は気になりましたねえ。欲しいですね」

(Q.感覚的にはどれぐらい心引かれてますか?)
【マツナガさん】「これはもう99%欲しいですね。金融機関さんが(融資を)OKって言ってくれれば、今すぐにでも買いたい」

去年はグラングリーン大阪の物件も抽選に当選して購入。

【マンション購入を検討 マツナガさん(30代)】「グラングリーンは本当うれしかったですね。当選したときに、あふれ出た涙が今でも忘れれなくて。当時で1億2000万円ぐらいでした」

(Q.今売ったらいくらぐらいまで)
【マンション購入を検討 マツナガさん(30代)】「聞いてますと2億2000万円とか、だいたい2倍ぐらいになってる話を聞いてます」

■買う客は「大阪、関西の人が大半」 一方外国人は「1割いないぐらい」

(Q.どんな客が多い?)
【不動産仲介コモン 武本健太朗代表取締役】「まず間違いなく多いのは大阪の方、関西の方が買ってることが大半ですね。

海外の方がマンションを買いあさってるっていうことで、結構世間のイメージがあるんですけど、(海外の方は)1割ないぐらいじゃないですかね」

取材を進めると、実際に住む需要に加えて、日本人が資産として買い求めるため、価値が急騰している現状が見えてきました。


■「統合型リゾート・夢洲、森ノ宮、北摂方…まだまだ成長発展は続く」と専門家

このトレンドは今後、どうなっていくのか。

大阪の不動産を取り巻く状況に詳しい専門家を訪ねました。

【ジョーンズラングラサール 山口武さん】「この後は、主立ったものとして統合型リゾート・夢洲ですね。それ以外にも、計画的に森ノ宮方面とか、あるいは北摂方面であるとか、まだまだ成長発展は続いていくと思っている」

■「なにわ筋線」新駅の開発で盛り上がる中之島エリア

そして、“さらなる大阪の伸びしろ”として、注目を集めるエリアがあるとのことで案内してもらうと。

(Q.この辺りが今、開発が進んでるエリア?)
【ジョーンズラングラサール 山口武さん】「そうですね。そこのクレーンが上がってる辺りが“新駅の真上”というイメージ」

たどり着いたのは、福島駅の南側にあたる中之島エリア。

2031年には「なにわ筋線」の新駅が出来るなど、開発が予定されているエリアです。

(Q.大阪の不動産高騰について?)
【ジョーンズラングラサール 山口武さん】「ある意味、経済合理性というか、なるべくして上がってるという姿。不動産の持つ価値・稼ぐ力が高まったことによって、上がってきている。致し方ないというところだと思います」

こういった状況に歯止めをかけようとする動きもあります。

政府は購入者の国籍等の情報を把握する仕組みを検討していて、業界団体も投機的な転売の対策に乗り出していますが“効果は限定的”との声も…。

■近年増える「中古マンション購入+リノベーション」

高騰が続く中、どうやって住宅を選べばいいのか。取材班が訪れたのは不動産の仲介などを行う会社。

近年、ある依頼が増えているそうです。

【アンメゾンワールド 芝本貴行代表】「(客の)8割から9割ぐらい中古マンション(購入)プラス、リノベーションを検討されています」

実際に中古マンションの購入とリノベーションを依頼した夫婦。

子どもの学区や通勤距離を考えて、当初は阿倍野区で新築の物件も視野に探していましたが…。

【中古マンション購入+リノベーション40代夫婦】「(新築)高すぎますしね。高すぎるし立地考えたら、中古(マンション)をリノベ(-ション)したほうが、自分たちの理想にあうかなと」

「このへんだったら億いったりします。東京よりはましなんでしょうけど、それでもそんな億超える金額(払えない)」

■中古マンションリノベ「めっちゃ楽しい」と購入者

検討の結果、ことし8月に阿倍野区の中古マンションをおよそ5000万円で購入。

現在、間取りの変更やキッチンの移動など総額1700万円ほどをかけて、理想の住まいへとリノベーション中です。

【中古マンション購入+リノベーション40代夫婦】「めっちゃ楽しいです。新築にしちゃうと自由にできすぎるし、コストも上がりすぎる、リノベある程度制約があるんで、コストも考えやすい。(中古マンションにして)良かったなって」

想像以上の価格高騰となった大阪のマンション。

急激な住環境の変化に伴う様々な影響にどう対応するのか、悩ましい状態が続いています。

(関西テレビ「newsランナー」2025年12月11日放送)

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