大阪地方検察庁のトップだった男が部下の女性に性的暴行を加えた罪に問われている事件で、大阪地検は起訴内容に「“検事正としての立場”を悪用したこと」を加えたことを公表しました。

被害女性はこのことを強く求めていたものの、加えたことを一部で報道されるまで、地検側から知らされず、「重要な情報だと思っていなかったので、伝えるのを失念していた」と説明されたということです。

被害女性側は「情報を密に共有しなければならないという意識が欠けている」などと批判しています。

■初公判で起訴内容“争わない”も一転して「無罪主張」へ

北川健太郎被告(66)は大阪地検の検事正だった2018年、酒に酔って抵抗できない状態の部下の女性検察官に性的暴行を加えた準強制性交等の罪に問われています。

北川被告は去年10月の初公判で、起訴内容を争わないとしていましたが、そのおよそ2カ月後に弁護団が会見を開き「抵抗できないという認識はなく、同意があったと思っていた」などと一転して無罪を主張する方針を示しました。

その後1年以上、裁判は開かれていません。

■検察 起訴内容に「立場を悪用したこと」を加えるも被害女性には伝えず「失念」

検察はきょう=11日、ことし9月17日に起訴内容について罪名は同じまま、「検事正としての影響力を部下職員らに及ぼし得る立場にあることに乗じて」と立場を悪用したことを加えていたことを公表しました。

この変更は先月末に一部報道で明らかになったもので、被害女性の代理人によると、変更は被害者の女性が要望していた内容ですが、被害者には変更を伝えていませんでした。

被害者が今月5日、大阪地検の担当者と面談し、抗議すると「被害者参加人(被害女性)にとって重要な情報だと思っていなかったので、伝えるのを失念していた」と説明と謝罪があったということです。

■「情報を密に共有しなければならないという意識が欠けている」

代理人は次のようにコメントしています。

【被害女性の代理人弁護士のコメントより】「裁判で審理される対象がどのような事実に変更されたかは、被害者参加人にとって最も重要な事実です。

しかも被害者参加人が検察庁に対し、長期間要望し続け、ようやく被害実態に見合う公訴事実への変更の決定が出たのだから、普通なら、すぐに被害者参加人に決定が出たことを伝えてあげようと思うのではないでしょうか。

5日の面談で、検察庁に対し、従前から被害者参加人の心情に配慮せず、情報を密に共有しなければならないという意識が欠けていることが原因だと強く抗議しました」

また、被害者の女性は重度のPTSDを発症したとして準強制性交等致傷の罪での起訴を求めています。

関西テレビ
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