今年の夏、猛暑の影響もあってか炎が噴き出す事故が多発して大きな問題となったモバイルバッテリー

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製品の事故を調査する「NITE(製品評価技術基盤機構)」によると主にスマートフォンの充電に使われるモバイルバッテリーの事故は4年で2.5倍以上にも増加。

夏だけでなくこの寒い季節にも発火事故は続出しています。

12月1日、自宅で就寝中に充電していたモバイルバッテリーが発火したという男性は、そのときの状況について…、

モバイルバッテリー発火事故に遭った男性:
本当に布団の横でしたので、目を覚ましたら空気が熱いんですね。横を見たら火柱が20cmくらい立っていました。

男性はすぐに消火したものの、右手にやけどを負ったといいます。

発火の原因は、多くのモバイルバッテリーに使われているリチウムイオン電池です。
可燃性の液体が使われており、強い「衝撃」などを受けるとショートして発火や爆発の恐れが高まるといいます。

守られないリチウムイオン電池“捨て方”…火災発生も

リチウムイオン電池が原因で大きなトラブルにつながりかねないのが、ごみ処理場での火災です。

本来、リチウムイオン電池を含むモバイルバッテリーは危険物であり、廃棄する際には基本的に絶縁処理が必要なほか、一般ごみでは捨てられません。
しかし、ルールを守らず一般ごみとして出された結果、処理過程での事故が起きています。

7月には、埼玉県・戸田市のごみ処理場で火災が発生。
施設によると、粗大ごみ処理施設でリチウムイオン電池が発火したとみられ、電気設備が損傷して焼却施設が停止しました。

その後ごみ処理場はどうなったのか、「サン!シャイン」が取材しました。

蕨戸田衛生センター組合・山本義幸次長:
こちらは粗大ごみ処理施設の地下の部分になります。(ここが)出火場所というふうに消防ではされていて、出火の原因となるようなものがここに落ちて、延焼がベルトコンベアーのゴムづたいに広がっていったというようなことになるかと思います。

火災から約5カ月がたった今も火元には黒い燃えカスが積もり、施設は停止中。
さらに、電気設備が損傷した焼却施設も復旧するのは2026年3月になるといいます。

停止中のごみ処理施設を取材 ごみは今どこへ? さらなる負担も

では今、ごみの処理はどうしているのでしょうか。

戸田市の処理場に入る収集車
戸田市の処理場に入る収集車

収集車に同行すると、一度燃えるごみを回収し戸田市の処理場へ。

しかしここで焼却はできないため、集めたごみをより大型のトラックへ積み換え、別の処理場に持って行きます。
別の収集車は、回収を終えるとそのまま都内へ入り、板橋区のごみ処理場に運んでいきました。
こうして近隣自治体の処理場にごみを運び込まなければならないのです。

処理の委託費や処理場の修理費を合わせた元に戻るまでの費用については…、

山本義幸次長:
トータルで41億円ほどの補正予算
が必要となっています。

さらに、火災を防ぐため作業員には、途方もない手間と負担がのしかかっていました。

大量のごみからリチウムイオン電池を見つけ出し、1つ1つ取り除かなくてはなりません。

取材スタッフ:
電池ですね、電池が出てきましたね。

作業中、ハンディファンなどのリチウムイオン電池内蔵製品が次々と出てきます。

またパンパンに膨張した、圧力を加えると発火する可能性があるというモバイルバッテリーそのものも。
自治体ごとにリチウムイオン電池を含む製品の廃棄ルールが定められていますが、不適切な捨て方は各地で後を絶たないといいます。

“ごみ清掃芸人”が伝授 リチウムイオン電池の処分法は

谷原章介キャスター:
たった1個のモバイルバッテリーで41億円の被害ですよ。で、火災があったから手作業で分別せざるを得ない。作業員の方の労力を考えると捨てる時に本当に気をつけないといけないと思いますね。

カンニング竹山氏:
今僕は(モバイルバッテリーが)たまっている。(廃棄に)持って行かなきゃいけないけど「忘れた!」とか。どこにいったん置いておこうかと。

酒主義久アナウンサー:
処分方法に困っている方が多くいると思います。そこで今回芸人をしつつ東京23区のごみ収集作業員をしているマシンガンズ・滝沢秀一さんに聞きました。
携帯型の扇風機、電動歯ブラシなど本体がプラスチックであることが多いため不燃ごみとして捨てられていることが多いそうなんですが、「可燃ごみや不燃ごみに出すのはもちろんNG」。処分するには…

リチウムイオン電池製品の処分法(マシンガンズ・滝沢秀一氏によると)
・メーカーや販売店の回収サービスを利用
・自治体での分別回収(自治体によって異なるので、どういう処分法が適切なのか確認する)
・地域のクリーンセンターは変形していても引き取ってくれることが多い

実際滝沢さんは、周りから見えないようにタオルでぐるぐる巻きにして捨てられているケースに遭遇したそうです。燃え移ってしまうので本当に危険です。

また滝沢さんによると充電中に発火することも多いので、充電中に外出をしたり就寝中に充電をすることもNG行為だとのこと。

便利だけど使い方や捨て方を誤ると危険なリチウムイオン電池。
私たち一人一人の意識が大切です。

(「サン!シャイン」12月11日放送より)