青森県沖を震源として8日に起きた地震。

これに続く巨大地震の発生が警戒される中、最大震度6強を観測した青森・八戸市の港にあるコンテナターミナルでは地面に長い亀裂が生じていました。
200メートルを超えるような長さの亀裂となっています。

この他、アスファルトが浮き上がり段差となっている箇所もありました。
手のひらがすっぽりと入ってしまうぐらいの大きな亀裂ができています。

こうした亀裂や段差の影響で車が走行することができず、コンテナターミナルは一部が閉鎖されています。

東日本大震災を経験したという男性にとっても、今回の被害は想像以上だといいます。

八戸港湾運送・桝谷悟課長:
この場所で経験してるけど、ここまで今回の被害がひどいとは想像しなかった。

市内では、住宅街のアスファルトにも亀裂が入っていました。

地面が割れ、ブロック塀や住宅の外壁が崩れ落ちています。

被害を受けた市内のワイン工場では、地震でワインの瓶が散乱しました。

白戸義徳工場長:
このワイン見ながらホースで水を出して、ガラスの破片とか口元が割れて飛んでいるかもしれないので、全部洗い流して検品をして、これは大丈夫です。

今回の地震で約300~400本、瓶が割れてしまったとのことです。

今回の地震は、発生後1週間程度は巨大地震発生の可能性が高まるおそれがあるとして、北海道・三陸沖後発地震注意情報が初めて出されています。

午前7時の青森・八戸駅前では雪がちらつき、巨大地震に備える八戸市には厳しい冬本番が到来。
10日の朝は氷点下1.1度まで冷え込み、街は冬景色となりました。

市内の鮮魚店には商品が並び、飲食店などでは営業を再開する動きも広がりつつあります。
しかし今後、再び大きな地震に見舞われるおそれは、店の営業に暗い影を落としています。

八戸市内の飲食店経営者:
きょうは営業します。(Q. 余震への不安は?)ありますよ、お客さんのキャンセルありました。きょうみえる方いたんですけど、向こうから来られないからキャンセルも。

市内のホームセンターでは、非常用トイレなどの防災グッズをかごいっぱいに買う人の姿が見られました。
地震への警戒感は確実に高まっています。

岩手・陸前高田市では、テントや毛布などを備えた自主避難所が開設されました。

陸前高田市・中村吉雄防災局長:
ぜひこの機会にそのようなもの(地震に備えたもの)を準備していただくという、そういう期間になれば、よりこの1週間は意味を持つ1週間になる。

多くの観光客が訪れる北海道・函館市の朝市でも、後発地震注意情報をめぐって不安の声が聞かれました。

釧路市から来た人:
子どもがいるので、慣れない土地なので、地震や津波が来るとなったときに、どこに逃げていいのかなとか。ぱっと思いつかないので、そこが不安だったりします。

千葉県から来た人:
何も分からないと、土地勘もまったくないから、いざそういう場面に直面したら、確かにちょっと不安はあります。

函館朝市・ヤマノ中村商店:
1週間ぐらいはみんな気をつけて。結構この建物古いので、揺れたらとりあえず店から出ようというような話はみんなでしていますね。

通常の生活を続けながらも、避難場所の確認など日ごろの地震対策を見直すことが呼びかけられる中、SNSなどでは偽の情報が広がっています。

特に海外から発信されるSNSには、東日本大震災当時の津波映像をAI(人工知能)で加工したものなどが見られます。

こうしたSNSでのデマ情報について、日本大学危機管理学部・福田充教授は、「SNSで再生回数を増やすことで、お金をもうけられる“アテンションエコノミー”のような状況。偽の画像・動画を拡散することで、たくさんの人に広めようとする、悪意を持った個人が生まれてきている」と指摘します。

こうした事態には、今回初めて出された後発地震注意情報も関係しているとして、注意を呼びかけています。

日本大学危機管理学部・福田充教授:
初めて出された(後発地震注意情報)制度・情報に対して、人々はこれ、「どういう意味なんだろう」、「まだ聞いたことがない」、「どう解釈すればいいか」というふうにだまされやすくなるということがありますので、注意が必要かと思います。

デマ情報は、各地で出没しているクマをめぐっても広がっています。

街で話を聞くと、「SNSとかで、クマとかライオンが逃げたみたいな。文字だけの情報を見て、クマはいるしなとか思って。一瞬信じちゃいそうにはなりますね、なんか(地震で気が)動転してるし。避難所にクマが出たって書いてあって」といった話が聞かれました。

実際に、地震がクマの生態に影響を及ぼすことはあるのでしょうか。

岩手大学農学部・山内貴義准教授:
うのみにしない方がいい。直接それ(地震)で出没が増えるとか、凶暴になるとかっていうことはない。

SNSのデマ情報対策について専門家は、公共機関の情報をチェックする、SNS上の動画などはAIで生成されたものかもしれないという疑いを持つことが重要だとしています。

青森・八戸市では、今後の地震による警戒する中で、10日から学校が再開しています。

白山台小学校・大館秀光校長:
かなり怖い思いをした子もいると思うので、ケアをしながら子どもたちの命を守る取り組みを継続したい。

むつ市でも、20校ある小・中学校すべてが2日ぶりに再開しました。

児童は、「物が倒れてたりしてたらしいけど、今、元に戻って安全になって安心です。(Q. 友だちと会えてどう?)うれしいです!」と話し、保護者も「普通の生活ができるのがまず一番安心すると思うので、すぐにこうやって学校に来ることができてよかった」と話しました。

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