8日夜、最大震度6強を観測した地震では、初めて「後発地震注意情報」が発表されました。
地震学が専門の東京科学大学の中島淳一教授に話を聞いていきます。

まず地震を振り返っていきます。

地震が起こったのは8日午後11時15分ごろ。
青森県東方沖が震源となり、最大震度6強を観測しました。

太平洋沿岸では、今は解除されていますが一時津波警報が発表され、岩手・久慈港で最も高い70cmの津波を観測しました。

そしてこの地震のモーメントマグニチュードは7.4と推定されるということです。

そして、この地震では初めて「北海道・三陸沖後発地震注意情報」というものが発表されました。

これは、マグニチュード7以上の地震が起こった場合、このあとに続けて起こる地震(後発地震)に注意を促すものです。

「南海トラフ臨時情報」と少し似ているところもあります。

そして、この注意情報が発表されている時、大規模な地震が発生する可能性が、平常時の0.1%から10倍の1%にまで高まるということです。

青井実キャスター:
「後発地震注意情報」を聞いたことがないという人もいると思いますのでいろいろ聞きたいのですが、まず今回の地震でなぜこれが出されたのでしょう?

東京科学大学・中島淳一教授:
この地域は過去にマグニチュード9クラスの巨大地震が起こったことが分かっています。
ただ、今回の地震の震源域付近では、少なくとも400年程度は間が空いていると、前回の地震から。
こういった規模の大きな地震が起きると、さらに大きな地震を誘発する可能性があるということで今回のような注意情報が出されました。

青井実キャスター:
プレートはどのように関係がありますか?

東京科学大学・中島淳一教授:
今回の地震は、沈み込む太平洋プレートと陸のプレートの境界で起こった地震です。
今回はどちらかというと深い側で起こった地震ですが、今回深い側で起こったとして、まだ浅い側に割れ残りがあった場合には、次は浅い側が壊れる可能性も高いと思います。

青井実キャスター:
三宅さん、平常時0.1%だったんですけど10倍の1%になっているということで、かなり上がっています。

三宅正治キャスター:
10倍になったということ、僕も含めて可能性がかなり高くなったと感じる部分があるんですけど、この数字の1%の部分が、高いのか低いのか、「1%でしょ」と切迫感を感じない人も少なからず僕はいるんじゃないかなと思うんですが。

青井実キャスター:
そういう意味では、この1%はどうとらえたらいいですか?

東京科学大学・中島淳一教授:
普段1%というと、確率は高くない・すごく低いと感じる方が多いと思いますが、地震に関しては1%という確率は非常に高い値だということで、いつ起こってもおかしくない確率だとお考えください。

「後発地震注意情報」は防災観点で注意を促す情報ですが、後発地震について、過去のケースを見ていきます。

1963年に起きた「択捉島南東沖地震」ではマグニチュード8.5の地震がありましたが、その18時間前にはマグニチュード7の地震が起きていました。

そして2011年の東日本大震災でも、いわゆる「本震」といわれるマグニチュード9の地震の2日前にマグニチュード7.3の地震が起こっていたということがあります。

今回の気象庁の会見でも、「最悪のケースでは3.11のような地震が起きる」「あのようなことが再び起きないとは限らない」といった発言もありました。

宮司愛海キャスター:
そうしますと中島さん、東日本大震災クラス、マグニチュード9クラスの地震が今後起こり得ると考えていいのでしょうか?

東京科学大学・中島淳一教授:
今回の地震は2011年の地震と同じメカニズムで起こった地震となります。2日前にマグニチュード7.3という地震が起こってM9の地震が起こったので、今回の地震を契機にさらに大きな地震が起こる可能性は十分考えておいた方が良いと思います。

青井実キャスター:
“備える”ということですが、津波などにも注意が必要になってくる?

東京科学大学・中島淳一教授:
例えば浅い側で地震が起こった場合、規模は今回ほど大きくなかったとしても大きな津波がやってくることも考えられますので、特に津波というのは今後注意していく必要があると思います。

青井実キャスター:
山口さん、心配ですよねそういう意味では。

SPキャスター・山口真由氏:
今のお話だと、強い揺れじゃなくても津波の可能性があるということですか?

東京科学大学・中島淳一教授:
そうですね。特に浅い側、日本海溝に近いところが滑ると大きな津波が励起されますので、揺れが小さくても津波が大きい場合があることは十分考えられます。

宮司愛海キャスター:
政府は、後発地震注意情報の中で、北海道から千葉県の182の市町村に1週間程度の防災への対応を求めていますが、中島さん、1週間というのはこちらが決めたことでもあると思います、どのくらいの期間、注意が必要になると考えられますか?

東京科学大学・中島淳一教授:
1週間という数字自体にあまり科学的根拠は実はなくて、社会生活への制限、影響の方から決められたものです。
過去の例を見ると、数日で起こった場合もありますし、数カ月後に大きな地震が起こった事例もありますので、1つのめどではあるんですが、もうちょっと長い期間注意していただくのが良いと思います。

青井実キャスター:
1週間あるわけですが、なかなか心が休まらない時間もあるわけですが、移動だったり暮らしはどういうふうにしていけばいいのでしょうか?

東京科学大学・中島淳一教授:
今回この注意情報が出されても、普段の生活を特に変える必要は私はないと思います。
ただ、いつ地震が起こってもいいように、防災グッズを近くに置いておくであったり、家族との連絡の手段を考えておく、そういった個人個人の心構えが重要になってくると思います。