これまで市場にあまり出回らなかった「珍しい魚」への注目が高まっている。埼玉・蕨市のすし店では、豊洲市場で手に入りにくい魚を独自に仕入れて提供。また、福島や三重の小・中学校では、食育の一環として地元で獲れた珍しい魚を給食で提供するなど、積極的に使う取り組みは広がりを見せている。

処理が難しい魚を仕入れて提供するすし店

新鮮なネタがカウンターにずらりと並ぶすし店。仕入れるネタには、「バショウカジキ」「エボダイ」「クロシビカマス」といった、あまり聞いたことのない名前の魚が多く含まれていた。

この記事の画像(14枚)

今、こうした珍しい魚への注目度が高まっている。

取材班が訪れたのは、埼玉・蕨市にあるすし店「鮨 ヒカリズキ」。このすし店では、本マグロの赤身やマダイ、サンマなど新鮮な海の幸をにぎりで味わえる。

この日おすすめネタの一つとして提供されていたのが、クロシビカマスだ。

クロシビカマスのへ表面を炙る
クロシビカマスのへ表面を炙る

その身を一口サイズに切ったのち、表面をバーナーでサッと炙って握る。

鮨 ヒカリズキ・山川忠康さん:
クロシビカマスです。

取材班:
脂が乗ってて柔らかくて美味しいです。

この店では他にも、口の長さが特徴の「アカヤガラ」や「ヒメジ」など珍しい魚を多く取り扱っている。

こうした魚をあまり見かけないのには、ワケがあった。

鮨 ヒカリズキ・山川忠康さん:
処理もありますし、豊洲市場に売ってないからです。豊洲にそういうお魚が揃っていないので、皆さん知らない、使ったことがないというのが一番の原因です。

知名度の低さや処理する手間などの問題で、市場にあまり出回らないという魚たち。例えばクロシビカマスは骨が多く処理が難しいことから、流通量が少ないという。「鮨 ヒカリズキ」では、こうした魚を、神奈川県内の漁港などから丁寧に処理された状態で仕入れているため提供できているのだという。

鮨 ヒカリズキ・山川忠康さん:
もっと知らない魚があったらどんどんチャレンジしてみたいし、知らないもので美味しいものがあったら、それはやっぱり色んなお客様に知ってもらいたいから、どんどん使っていきたいと思います。

給食やサブスクでも活用

珍しい魚を積極的に扱う取り組みは広がりを見せている。

福島・相馬市にある一部の小・中学校では2月、地元で取れた流通量が少ない白身魚「ニギス」を、食育授業の一環として給食で提供した。

三重・南伊勢町の小・中学校でも3月、珍しい魚「タカノハダイ」を使った給食が提供された。

また福岡県にある会社「フィシュル!」では市場に出回らない魚を、水揚げされたその日のうちに冷凍加工するなどして、新鮮なまま自宅に届けるサブスクサービスを実施している。

フィシュル!・井口剛志社長:
これまで累計で大体200種類くらいの魚を扱っています。活用したことがないお魚に関しても積極的に活用していきながら、本当により多くの魚たちにスポットライトを当てていけるといいなと思う。
(「イット!」12月8日放送より)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(14枚)