クリスマスのイルミネーションに彩られたスウェーデンの首都ストックホルム。
授賞式が直前に迫ったノーベル賞にちなんだプロジェクションマッピングが街を輝かせていました。
10日に行われるノーベル賞授賞式後に開かれる晩さん会の会場となるストックホルム市庁舎に映し出されたのは、広島の原爆ドームです。
2024年に平和賞を受賞した日本被団協が目指す核兵器廃絶と平和への思いが表されています。
ストックホルム中心部には、過去の受賞者からインスピレーションを受けた14の光のアート作品が展示されています。
文学賞を受賞した川端康成の作品に出てくる月から着想を得た作品もあります。
日本の誇りである2人の科学者がそろって訪問したのはノーベル博物館です。
椅子の裏にサインする恒例行事に臨み、記念撮影。
大阪大学・坂口志文特別栄誉教授は、自身が発見した「制御性T細胞」が登場する漫画「はたらく細胞」の英語版などを寄贈しました。
坂口さんは、体内で過剰な免疫反応を抑える働きをする「制御性T細胞」の「臨床応用の準備ができている」とし、がんの免疫療法についてこう語りました。
大阪大学・坂口志文特別栄誉教授:
がんが見つかったその日から、いかに免疫力を上げられるか。そうすることによって将来の転移を抑える、あるいは再発を抑える。それ(転移)が半分になれば、今のがん免疫療法よりもずっと効いているということ。それは私は可能だと思う。できれば10年くらいの間にそういう、がん免疫療法ができてほしいと思う。
そして、記念講演では妻への感謝の言葉を述べました。
大阪大学・坂口志文特別栄誉教授:
私の人生のパートナーであり、共同研究者でもある妻・教子に感謝します。
一方、化学賞を受賞する京都大学・北川進特別教授は、日本人学校で特別授業を行い、子供からの「一番難しくなかったことはなんですか?」との質問に「難しくなかったこと?難しくなかったことはやらない。難しいことをやる。難しいことっていうのは誰も知らないことだから難しいんです。誰もやらないことをやる」と回答しました。
教育現場でAI(人工知能)を過度に活用することについて、北川さんはFNNの単独取材に次のように警鐘を鳴らしました。
京都大学・北川進特別教授:
私自身はAIは役に立つものだと思っています。問題は、若い学んでいる人たちが、あまりにも期待しすぎて使っていくと、(AIは)回答の速度が非常に早いから、じっくり考える時間がなくなってくる。(AIに)使われてしまうことになる。自分で考えて、自分でくみ上げていくという思考をとるようにしていく教育をする必要があるのでは。