金沢美術工芸大学出身で日本を代表するアニメーション監督、細田守監督の最新作「果てしなきスカーレット」が11月21日から公開されている。テーマは「生きるとは」。細田監督の作品に込めた思いを聞いた。
復讐と再生の物語

細田守監督4年ぶりとなる新作の舞台は、16世紀のデンマーク。父の敵への復讐に失敗した王女、スカーレットが「死者の国」で再び目をさまし、父を殺した相手を探し求め、復讐をとげようとする物語だ。原作・脚本を手掛けたのも金沢美大出身の細田守監督だ。
細田守監督:
コロナ禍がやっとあけてようやく世界中に平和が訪れるかなと思っていたら、コロナ禍の終わりをまっていたように世界のあちこちで争いが起こるようになった。それこそニュースの報道で「復讐の連鎖」とか「町は地獄のようだ」と報道されるにつけ、報復の連鎖の果てには何があるのか、復讐をテーマにするのが今日的だと思った。
監督の「親として」の視点

主人公は19歳の王女スカーレット。芦田愛菜さんが声を務める。実は、このスカーレットのモデルとなったのは…
細田守監督:
もうすぐ10歳になるんですが、娘を通して世界を見たらどうなるのかと。ちゃんと生きていけるのかな?と親として思いながら作ったところはある。にくい相手を許せないということはしょっちゅうあること。でも、本当は許せないと思っていても自分自身が自分で決めたことにがんじがらめになってしまって不自由でいる。自分が決めたことに不自由でいるというのもすごい似ているなと思うんです。
さらに細田監督は続ける。
細田守監督:
本当はスカーレットが「聖」という日本の看護師、現代の看護師とあって考え方が変わっていくがそんな風に誰でもみんな自分自身を持て余しているところがあって、誰かこう、自分を変えてくれる人と出会いたいと思っていると思う。答えの出ない問いについてこの映画は描こうと思っているので別の何も、映画というのは試験の問題ではないので解答が用意されていてあなたの感想は丸とか×とかそういうものでは決してない。若い人はそういった意味ではちょっと損している気がする。答えを求めすぎているところが。なにかSNSというものに踊らされているというか。よく自分の目でみればもっと違うものが見えてくるんじゃないかという気がする。そういったもののために映画、芸術というものはあるんじゃないかと思う。
表現の挑戦…新たなアニメーション

そして今回、細田監督は「2D」でもない「3D」でもない新たな表現に挑戦した。
細田守監督:
まさにタイトルにかけますと「果てしない」ほど可能性はあって、実は全然まだアニメーションの可能性はもっと試すことがあるくらいフロンティア。今回主人公のスカーレットが荒野を旅する時に泥だらけ汗まみれで頑張っている姿を、本当に泥まみれ、汗まみれで表現できるという。今まで手書きだと、汚れは記号だったんですが記号じゃなく、この人頑張っているんだとおもえるような汚れ方、リアルな感じを表現することができるようになった。すごいアニメをみながら新鮮な、自然であり新鮮な感じだと思う。そういうところも注目してほしい。
最後に細田監督にメッセージをもらった。
細田守監督:
石川県の皆さん、アニメーション映画監督の細田守です。果てしなきスカーレット、生と死がまじりあう世界で自分の生き方をさがしだそうとする1人の女性の物語です。絶賛公開中ですので、是非皆さん劇場でご覧ください。
(石川テレビ)
