JR西日本は11月11日、二酸化炭素の排出を減らす次世代のバイオ燃料を岡山県内の気動車に導入した。
岡山は、バイオ燃料を広めるうえで適した条件を持っていて、営業する気動車での導入は全国で初めてだ。
◆旧国鉄が導入した車両はいまも現役!岡山で力強く走る気動車
軽油を燃料とするディーゼルエンジンをうならせながら力強く走る気動車。岡山では、1980年代にJRの前身、旧国鉄が導入した車両も現役で運行していて、ファンの心をくすぐっている。
◆年間約5500トンの二酸化炭素が削減 バイオディーゼル燃料でも変わらない乗り心地
気動車は電車と構造が異なり、空気を吸って燃焼させ、排気ガスが屋根の上から出る仕組みだ。
そのため、電気でモーターを回す電車と比べると、運行時の二酸化炭素の排出が課題となっている。こうした気動車に導入されたのが、使い終わった食用油や食品加工の際に出る油などから生成する“次世代のバイオ燃料”だ。見た目は軽油とほとんど同じである。
燃焼させる際に二酸化炭素を排出するが、化石燃料の軽油と比べて生成過程での二酸化炭素が抑えられるそうだ。岡山全体で導入することによって、年間に一般家庭約2000世帯の排出量に相当する約5500トンが削減できるという。
JR西日本岡山気動車支所の塩見知裕支所長は「軽油もバイオディーゼル燃料も同じ性能」と説明。乗り心地も変わらないという。
◆「岡山」で全国初導入にはある理由が…
全国で初めて岡山で導入されたのには理由がある。
10路線あるJRの在来線のうち、電車が走れる電化された設備があるのは、山陽本線など5路線。津山線や姫新線など北部を中心に5路線は電化されておらず、気動車が運行している。

その数はJR西日本全体の1割強となる59両。11日から順次、バイオ燃料が導入されている。
◆岡山は気動車が多く活躍…運行に関する「データの取りやすさ」が背景に
県単位では比較的、気動車の配置が多く、雪が降る地域などもあり運行に関するデータが取りやすいとされる岡山。交通の結節点としてのポテンシャルも。
JR西日本の林秀樹岡山支社長は「(岡山の)車両の整備は岡山気動車支所でできる。県外に車両基地や拠点に散っていかないので適切に管理しモニターすることが最もやりやすいのが岡山エリアだった」と、次世代バイオ燃料導入について岡山ならではの強みを説明する。
◆燃料調達コスト低下も期待しつつ社会貢献にも…グループ全体で目指す二酸化炭素排出「実質ゼロ」
バイオ燃料の先進地、岡山へ。その一方で調達コストはまだまだ高く、今後の課題となりそうだ。
林岡山支社長は「特別な機械を用意しなくても従前型の機関、給油設備を置き換えることなく使えるメリットがある。燃料調達コストは社会の機運とともに低下することも期待。営業列車での使用がきっかけになれば世の中のためになると思う」と語った。
JR西日本はこうした取り組みを通して、2050年にはグループ全体で二酸化炭素排出「実質ゼロ」を目指す。
(岡山放送)