2025年10月、秋田県湯沢市の中心部で男性4人が立て続けにクマに襲われました。クマはこのうち1人の住宅に入り込み、6日にわたって中にとどまりました。家の中は至る所に土や足跡が残されていたほか、食器などが荒らされていました。

あれから1カ月余り。自宅にクマが入り込んだ男性が心境を語りました。

「クマの注意喚起をする広報車が回っているな、何を言っているのだろうと、2階の自分の部屋から窓を開けて聞けばよかったが、わざわざ1階に降りてしまったからクマに食われた」

こう話すのは、自宅の玄関先でクマに襲われた男性です。

10月、湯沢市の中心部で悪夢のような出来事が起きました。

立川愛梨アナウンサー:
「JR湯沢駅から約250メートルの場所。国道13号線が走っていて車通りはかなり多い。しかし1本細い道を入ると住宅街に入る。飲食店もあるが、クマが居座った10月20日、朝ということもあり、より一層静かな場所だった」

男性を含む4人が、市内で相次いでクマに襲われました。男性は4人目の被害者。クマは男性を襲った後、そのまま男性の自宅に入り込みました。

クマが居座った住宅に住む男性:
「警察が広報で回っていて、何を言っているのか、家の中でよく聞こえなかったので外で聞こうとしてドアを開けたら、すぐそこにクマがいた」

男性はクマに右太ももをかまれ、1カ月以上たった今も傷跡が残ります。

男性がその場に倒れ込むと、クマは男性の脇を通って自宅に入っていきました。わずか2秒ほどの出来事だったと言います。

男性:
「すごい力。まさかと思った。自分がひっくり返るから。かまれたのもあとで分かったぐらい。襲われた瞬間の痛みはなかった気がする。抵抗する間はなかった。頭を抱えてなど、とんでもない。10メートルぐらい先にクマがいれば抵抗できるかもしれないが、目の前だから」

男性は自宅の外に逃げ、とっさに玄関の扉を閉めました。

男性:
「閉じ込めておけば警察が来るだろうし、すぐ終わると思っていた。1週間もかかってしまって、まさかですよね」

クマが捕獲された後、市の職員や警察とともに自宅を確認すると、床や玄関、さらには2階にも、家中に土や足跡がありました。また、台所の食器は床に落ちていたほか、3カ所にふんが残されていました。

男性:
「床の色が変わっている。ここ、床の色が少し濃くなっている」

男性は1人暮らしで、その日食べる分の食料だけ自宅に置いています。当時も自宅にあったのはカップ焼きそば1つだけ。食料がほとんどなかったため、クマが食い荒らした様子はありませんでした。

男性が退院したのは被害の1カ月後。自宅は市が掃除と消毒をしてくれていました。

男性:
「自分で掃除などをやれと言われてもできないところがある。掃除はしても消毒は個人では難しい。ありがたい」

湯沢市の中心部で起きた異例の事態。男性は周辺の変化が背景にあると考えています。

男性:
「昔は400件ぐらい飲食店があったが、今は100件あるか。全然人がいない。すごく静か」

一方で、周辺住民は意識が変わったようです。

男性の住宅の隣に住む人:
「規制中は、やはり食料を買いに行ったりしなければいけないが、警察にエスコートしてもらって家から出たり入ったりする状況だった。クマは出てこないだろう、いないだろうという否定的なだろうでなく、来るだろう、いるだろう、隠れているだろうという形で気を付けている」

再び日常を取り戻しつつある男性は、今回の経験を踏まえ「外に出る時は一気に出ず、まず少し開けて外を見る。みんなやった方がいいと思う。共存共栄は無理だけれども、していかなくてはというか、まず人間とクマの世界を分けて生活をしたほうがいい」と呼びかけています。

秋田テレビ
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