従来の健康保険証の有効期限が切れ、2025年12月2日から『マイナ保険証』を中心とした仕組みに移行した。混乱も危惧されていた初日の福岡の医療現場を取材した。
「お薬手帳も入っている」「何か怖い感じ」
従来の健康保険証の有効期限は、2025年12月1日まで。2日からマイナンバーカードと一体化した『マイナ保険証』の利用が原則となった。

医療機関を受診する場合、『マイナ保険証』か、持っていない場合は健保組合などから発行される『資格確認書』を提示する必要がある。この日の福岡市のクリニックを覗くと移行を受けて『マイナ保険証』を使用して受診する人が目立った。

80代の女性患者は「受付はマイナンバーカードですね。保険証は、きょうから使わなくていいんでしょ」と早速『マイナ保険証』を使用。また別の女性患者は「やっぱり『マイナ保険証』の方がいいです。お薬手帳が全部、入っているから」と話す。

しかしその一方で「(マイナ保険証を使って)スムーズに行ったのかなとは思いましたけど、あれ(マイナ保険証)で全部、管理されてるので、正直、ハッキングされれば、あれで全部データをさらけ出されるのかな…」と不安な表情を見せる男性患者も。

また高齢の女性患者は「(マイナ保険証は)なんか怖い感じがする。私はこの(従来の)保険証が好き。マイナンバーカードは難しい」と困惑気な表情だ。

10割負担を“お願い”される状況も
過去の診療データや処方箋を共有できるなどのメリットもある一方、マイナンバーカードの期限切れやカード読み取り機のエラーといったトラブルも起きているという『マイナ保険証』。クリニックの移行初日はどうだったのか。

『井上さとし内科』院長の井上聡さんは「初日ということで初診の患者さんとか、お持ちであっても使ってらっしゃらない患者さんは、混乱があったんですけど、『マイナ保険証』が導入されてから、少しずつ啓蒙活動をしておりましたので、多くの方かかりつけの患者さんに関しては大丈夫かな」と話す

クリニックの『マイナ保険証』の利用率は50%ほど。全国の利用率が4割ほどといわれているのと比較すると浸透しているといえそうだが、今後さらに利用が増えると見込まれるなかで懸念もあるようだ。

井上聡院長は「機械が1台しかないので、作動しない場合は10割を負担してもらなわきゃいけないって状況にもなりかねない」と話す。

医療機関側の心配も尽きない『マイナ保険証』。厚生労働省では、窓口などでの混乱を防ぐため、従来の保険証を持ってきた場合などでも資格情報が確認できれば2026年3月末までは、保険診療を受けられるとしていている。
(テレビ西日本)
