人の生活圏へのクマの出没が相次ぐなか、11月29日・30日にはJR福島駅から500mほどの場所でクマの目撃が相次ぎ、列車との事故も発生した。専門家はクマの移動経路に「線路」の存在を指摘する。
■福島市の中心部に出没
11月29日。落ち着きなく歩き回ったり時折立ったりしていたというクマは、JR福島駅から約500m、飲食店や住宅が並ぶ場所で目撃され、同じ時間帯にはさらに2件の目撃が相次いだ。
そして夕方には、JR福島駅を出発した阿武隈急行の列車がクマと衝突した。
目撃が相次ぐ場所の近くでの事故。クマが死んだことで、出没も途絶えるかと思いきや、30日も目撃は続いた。
付近の住民からは「びっくり。川沿いとかなら分かるけれど離れているし、どうやってここまで来たのか」「まだ冬眠に入っていないと思うと、ちょっと不安は残る」との声が聞かれた。
■線路が移動経路に!?
クマの生態に詳しい福島大学の望月翔太准教授は、クマの移動経路に「線路」が利用されたと指摘する。
望月准教授は「線路は直線的な構造なので、本能的にまっすぐ進んで行って気が付いたときには周りは街中だったというパターンが多いと思う。静かに山に帰ってくれれば何も問題なしだが、これで街中に居つくのであればその個体を駆除しないとこのあと大きな問題になる可能性はある」と語る。
止まらないクマの出没。望月准教授は、特に夜に出歩く場合には1人での行動をできるだけ避け、強めのライトなどを携帯してほしいとしている。