夫婦の会話はこの20年でどう変わったのか。
広島の街で話を聞くと、会話の減少を自覚する声が多かった。調査では休日の会話時間が20分ほど減り、“0分の夫婦”も増加している。街でリアルな声を探った。

子どものためにも「スマホを置く」

広島市中区の本通り商店街。行き交う人に聞くと、夫婦の会話をめぐる思いは“子育て中”か“子どもが巣立った後”かによってもさまざまだった。

結婚41年の60代女性は「1日の会話は30分から1時間くらい。子どもが小さい頃はそれなりに話していたけれど、独立したらお互いの時間が優先になりました」と語る。

結婚14年・夫婦で街を歩いていた40代女性
結婚14年・夫婦で街を歩いていた40代女性
この記事の画像(5枚)

結婚14年の40代女性はスマートフォンの影響を懸念する。
「親がスマホばかり見ていると、子どもは“会話がなくてもいい”と思ってしまう。家族といる時は極力、スマホを置くように気を付けています」

一方、未婚者はこのテーマをどう捉えるのか。
20代男性は「会話が減るのは相手への興味が薄れたのか、意思の疎通や信頼関係ができたからなのか…難しいですね。僕の場合は、逆にスマホでインスタグラムなどを見て、ここおいしそうだねとか“会話の種”にすることが多い」と話す。

結婚21年・韓国から夫婦で旅行中の50代男性
結婚21年・韓国から夫婦で旅行中の50代男性

長く連れ添うほど会話が深まる夫婦もいる。
韓国から夫婦で旅行中だという結婚21年の50代男性は「一日中、特に何もなければ妻と雑談するのが楽しみなんです。旅行に来たのも“2人で過ごす努力”のひとつ」と笑った。

そして筆者の身近に多い理由は、結婚25年の50代女性が語るこの意見。

結婚25年・50代女性
結婚25年・50代女性

「話すことがないだけ。それぞれがそれぞれの時間を過ごすので、食事の時や車の中では意識して話すようにしています。話さなくても行動パターンはわかるけど、会話をすることで『こう思っているんだな』と再確認する感じですかね」
会話は減っても、一緒に過ごした年月の中で“夫婦のカタチ”ができあがっている。

調査から見える20年の変化

シチズン時計の調査では、2005年と2025年の「休日の夫婦の会話時間」を比較する。

休日の「夫婦の会話時間」(シチズン時計調べ)
休日の「夫婦の会話時間」(シチズン時計調べ)

2005年は夫婦ともに平均1時間半ほど話していたが、2025年には1時間10分程度に減少。また、2005年にはほぼゼロだった「全く話さない」夫婦が、2025年には6~7%程度に増えている。
共働き世帯の増加やスマホの普及が背景にあるとされ、個人の時間を尊重する傾向が強まった影響も指摘されている。

調査結果について、広島大学法学部長の吉中信人さんは「スマホはパーソナルな世界ですが、私はテレビ世代なのでテレビを見る時間を共有しながら会話を楽しんでいます。同じものを食べながら『おいしいね』と言ったり、たわいもない話ですけどね」と話した。

筆者は結婚14年になる40代・50代の夫婦である。片方が食事中にスマホをいじると、もう片方もやり返すように手に取ってしまう。だから食事の時は、お互い見ないよう暗黙のルールをつくっている。それでも休日の会話は1時間もない。
しかし、ふと思う。
「夫婦げんかも会話に入るのだろうか」
もし含めるなら、筆者夫婦の会話時間は確実に30分は延びる計算だ。
“たわいもない会話で笑い合う夫婦”が理想だったはずなのに、気付けば“たわいもない論争で白黒つけたがる夫婦”になっていた。そうだ!たまには、どうでもいい会話でもしてみようか。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
テレビ新広島

広島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。