プレスリリース配信元:株式会社帝国データバンク
「パン屋」の倒産動向(2025年1-10月)

株式会社帝国データバンクは「パン屋(パン製造小売)」の倒産発生状況について調査・分析を行った。
SUMMARY
原材料・人件費・エネルギーコスト高の「三重苦」で急増していたパン屋の倒産が、2025年は10月までに15件発生し、前年比4割減と大幅に減少した。好調なインバウンド需要やSNSを活用したマーケティングに加え、コメ価格高騰によるパン食への需要シフトが追い風となった。多くのパン屋が価格設定を工夫し、2024年度の業績は7割近くが黒字を確保した。今後も「ベーカリーカフェ」など、付加価値を高める業態への進化が問われる。
集計期間:2025年10月31日まで
集計対象:負債1000万円以上・法的整理による倒産
「パン屋」の倒産、前年から4割減 コスト高も「パン食」増で復活
コスト高で急増していた「パン屋」の倒産が、一転して大幅に減少した。全国で発生したパン屋の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は、2025年1-10月に15件発生し、過去2番目に多かった2024年(26件)から4割減となり、4年ぶりに前年を下回る見込みとなった。閉店や廃業といったケースを含めると、より多くのパン屋が市場から退出したとみられるものの、前年まで続いた増加ペースは一転して落ち着いた推移を見せている。

パン屋の経営は、1本1000円を超える「高級食パン」ブームの終焉や、パンの主原料である小麦価格のほか、油脂や砂糖、卵など原材料、ビニールなど包装資材の仕入価格の高騰、店舗スタッフの人件費やエネルギーコストの上昇も重なる「三重苦」が続き、コスト構造では決して良好といえない状況が続いている。他方で、都市部や観光地に立地するパン屋では、インバウンド需要が追い風となって客足が増えているほか、InstagramなどのSNS活用で「こだわり」を自ら訴求・発信できる機会が増え、創業まもない後発のパン屋でもリピーター集客を堅調に伸ばすことができ、生き残りがしやすくなった。また、近時のコメ価格高騰に伴い、主食の代替手段として手ごろな価格の総菜パンや菓子パンの需要が高まったことが、街のパン屋にとって追い風となった。総務省「家計調査」を基にした推計では、2025年における2人世帯以上のパン消費額は1日当たり換算で114円と、コロナ前に比べて約1割増加。なかでも、調理パンでは約3割増の19円/日となり、パン食機会の増加が目立っている。
実際に、「パン屋」経営企業の業績動向をみると、2024年度は4割を超えるパン屋が最終利益で「増益」を確保し、7割近いパン屋が「黒字」を確保した。過去10年では2016年度(黒字:70.7%)以来の水準で、2年連続で黒字割合が上昇した。コメ高騰による需要シフトを意識し、主食パンは手ごろな価格を維持しつつ、国産原料やストーリー性にこだわったパンは付加価値を最大限に訴求した値付けにするなど、価格設定を工夫することで利益面を大幅に改善させたケースがみられた。

足元では「ベーカリーカフェ」としてイートイン需要を取り込み、客単価と滞在時間を向上させる経営戦略や、「地域密着型」「特定のコンセプトに特化したニッチ店」など、単にパンを売る場で終わらせない業態への進化が進んでいる。パン食は朝食だけでなく、惣菜パンなどのランチ・カフェ需要、贈答品の役割も担うなか、厳しいコスト環境とコメ高騰という外部環境を「需要取り込みの機会」としてとらえ、コスト高に対応可能な価格設定と付加価値訴求の両輪で乗り越えることができるかどうかが問われる。
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