今年は雪が多いとの見通しがある中、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)は、雪のピークを迎える前に、除雪機の安全な使用を呼びかけている。雪の多い地域で活躍する除雪機だが、誤った使い方や不注意により命を落とす事故が後を絶たないという。

死亡事故の多くは「下敷き」「巻き込み」

NITEによると、2015年度から2024年度までの10年間に除雪機による人的被害があった事故は38件発生した。そのうち約8割(29件)が誤使用や不注意によるもので、36件は死亡または重傷という重大事故だった。特に冬のシーズン初めの12月に事故が集中しており、使い始めには細心の注意が必要だ。

事故事象別では、「除雪機の下敷き」「オーガ(回転部)への巻き込み」が死亡事故の大半を占める。重傷事故では「ブロワ(投雪口)に手を入れた」ケースが目立つ。また、屋内での使用による一酸化炭素中毒も報告されている。

事故の被害者は高齢者が多い。豪雪地帯では除雪作業者の高齢化が進んでいて、離れて暮らす家族や地域のサポートが欠かせない。消費者庁の調査では、除雪機使用者の平均年齢は60歳、“ヒヤリハット”体験をした人は35.8%にのぼる。特に使い始めの時期は危険が増すため、周囲の声掛けが事故防止につながる。

安全使用の5つのポイント

NITEは次の点を守るよう呼びかけている。

●安全機能を無効化しない
デッドマンクラッチ機構のクラッチレバーを固定したり、緊急停止クリップを装着せずに使用したりするなど、安全機能の無効化は厳禁。

●後進時は周囲を確認
足元や後方の障害物に注意し、転倒や挟まれ事故を防ぐ。

●人が近くにいる時は使用しない
特に子どもは死角に入りやすく危険。エンジンを掛けたまま離れるのもNG。

●雪詰まりはエンジン停止後に雪かき棒で除去
手で直接取り除くと回転刃に触れ、重傷を負うおそれがある。

●屋内や換気の悪い場所での使用禁止
排気ガスに含まれる一酸化炭素は無色・無臭で致命的。必ず屋外で使用する。

プライムオンライン編集部
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