佐賀県警科学捜査研究所の元職員が不適切なDNA型鑑定を行っていた問題で、警察庁は特別監察の中間報告を発表し、これまでに確認できた捜査や公判への影響について説明しました。
警察庁は、10月8日から佐賀県警で特別監察を実施し、これまでに不適切と判断したDNA型鑑定130件のほか、それ以外に元職員が実施した513件の鑑定について、「鑑定の実施状況が適切だったか」、「捜査や公判に影響を与えたか」の確認作業を進めています。
不適切と判断した130件のうち、犯罪捜査を目的とした鑑定が101件、その他の鑑定が29件でした。
中間報告では、犯罪捜査目的の101件について、「本来、捜査対象ではない人物を捜査した」、「拘束すべきでない人物を拘束した」、「犯人ではない人物を被疑者として検察庁に送致した」といったことはなかったということです。
一方で、捜査中や時効が成立した事件に関する鑑定結果について、「本来、判明するはずの被疑者を判明させることができなかった」といった捜査への支障が生じていないかという点については、今後、速やかに確認を行うとしています。
また、元職員が行った鑑定結果が検察庁に送られていたものは25件ありましたが、そのうち18件は実際の裁判で使用されておらず、残る7件については確認が進められています。
今回の特別監察では「鑑定の実施状況」の確認も行われており、警察組織以外からもDNA型鑑定の専門家として大学教授のアドバイスをもらっているということです。
警察庁は今回の不適切事案を受けて、全国警察に対して、適正な鑑定に向けた取り組みについて指示していますが、最終報告を出すまでには「まだ数カ月かかる見通し」としています。