柏崎刈羽原発の再稼働をめぐり「県民の信を問う」と言いながら11月21日までその方法を明かさなかった花角知事。再稼働容認の判断を下した自身を信任できるかどうか議会の場で信を問うことになった。
■原発再稼働の是非めぐり知事が繰り返してきた「信を問う」
花角知事が再稼働について「県民の信を問う」と初めて発言したのは知事選初挑戦となった2018年…告示の2日前のこと。
「しっかり熟慮して一定の決断を下し、県民に職を賭して信を問う」
その後、突入した選挙戦でも…
「安全性がしっかり検証されて、かつ県民の納得のない限り動かさない」
「皆様に正に信を問う覚悟で(結論を)結論を示して納得が得られるかどうか確認したい」
再稼働の是非についての自身が下す判断について信を問うと繰り返し、初当選を果たした。
花角知事:
「全責任を持って一定の判断をするそれが受け入れられるかどうかしっかりと確認する」
2期目を目指す2022年の知事選の際もその考えは変わることはなかった。
花角知事:
「(3つの検証の結果について)情報の共有をした上で、リーダーとしてしっかり結論を出す、判断を示す必要がある。その示した判断について、県民がどう考えるかを確認する、県民の意思を確認するというプロセスを経ていきたい」
しかし、その信を問う方法をめぐっては…
花角知事:
「(Q.県民の意思の確認方法について)決めているものはない」
知事就任以来「決まっているものはない」と繰り返すのみで、明確にその方法を示すことはなかった。
25年4月に再稼働の是非を問う県民投票条例案を審議した際には「賛成・反対の二者択一の選択肢では県民の多様な意見を把握できない」とした花角知事。
議員から信を問う方法について問われると…
花角知事:
「この言葉が持つ意味は多くの方が“信を問う”という言葉でイメージできるものがあると考えている」
県民投票条例案も否決され、結果として県民の信を問う方法がクローズアップされることに。

■「信を問う」歴代首相が用いてきたのは“選挙”
花角知事:
「信を問うという言葉は想像できるものがありますよね。何度も申し上げている“信”という言葉を使えば信任・不信任。存在をかけるということ」
「信を問う」という言葉で想像できるもの…
安倍首相(当時):
「国民生活・国民経済にとって重い重い決断をする以上、速やかに国民に信を問うべきである」
2014年、安倍元首相は消費税増税について「信を問う」として解散総選挙を実施。そして石破首相も去年…
石破前首相:
「新しい内閣というものが発足したので、新しい内閣について国民の信を問う」
「信を問う」方法として歴代の首相が用いてきたのは“選挙”。
政治の世界で「信を問う」という言葉は選挙を表すことが多いが、花角知事が選択したのは“県議会での議決”だった。

【解説】県議会で「信を問う」方針 その経緯は?
「信を問う」という言葉を使う際に花角知事は「職を賭して」や「存在をかける」とも発言していたため、選挙で信を問うことを想像した人も多かった。
知事も“選挙”を意識していたとみられているが、11月19日、新潟市の中原市長が知事への要望で伝えたように「知事選は単一の争点で行うべきではない」という声は小さくなかった。
県の幹部も花角知事の就任直後から再稼働問題は「知事と県議が直接県民に選ばれている二元代表制である以上、県議会に問うのが基本線」と話していた。
さらに、知事を支援してきた自民党には原発再稼働が最大の争点となった2016年の知事選で野党系候補に敗れた苦い経験から知事選の実施には反対で、議会での判断を求めていた経緯がある。
再稼働を推進する立場の自民党が県議会では最大会派。すでに結論が出ているようにも見えるが、県民の思いを託された県議それぞれが自身の判断で結論を下せるよう、各党には党の決めた方針で議員をしばる党議拘束をかけないことを願いたい。

