それでも、粘りが少なく粒ほどけが良いことからシャリに使う鮨職人がいるほか、あっさりとした味わいが和食に合うと根強いファンがいます。

杉山修一さんのかぐや姫
杉山修一さんのかぐや姫

「かぐや姫」は、こうしたササニシキの味わいを受け継いださっぱりとした味わいがあるほか、晩生ゆえに猛暑下でも品質を高められる可能性もあり、今後の普及に期待したい品種です。

品種といえば試験場で生まれるのが一般的ですが、大学教授が育てた品種もあれば、農家が育てた品種、民間企業が育てた品種もあるなど、出自はさまざまです。いろいろな品種を食べながら、ぜひその出自や背景を調べてみると、また違ったおいしさに出会えるのではないでしょうか。

『お米がもっと好きになる。炊き方、食べ方、選び方』(技術評論社)
『お米がもっと好きになる。炊き方、食べ方、選び方』(技術評論社

柏木智帆(かしわぎ・ちほ)
米・食味鑑定士、ごはんソムリエ、お米ライター。

柏木智帆
柏木智帆

米・食味鑑定士/ごはんソムリエ/お米ライター。大学卒業後、2005年神奈川新聞社に入社、編集局報道部に配属。新聞記者として様々な取材活動を行うなかで、稲作を取り巻く現状や日本文化の根っこである「お米」について興味を持ち始める。農業の経験がない立場で記事を書くことに疑問を抱くようになり、農業の現場に立つ人間になりたいと就農を決意、8年間勤めた新聞社を退職。無農薬・無肥料での稲作に取り組むと同時に、キッチンカーでおむすびの販売やケータリング事業も運営。2014年秋より都内に拠点を移し、お米ライターとして活動を開始。2017年に取材で知り合った米農家の男性と結婚し、福島県へ移住。夫と娘と共に田んぼに触れる生活を送りながら、お米の消費アップをライフワークに、様々なメディアでお米の魅力を伝えている。また、米食を通した食育にも目を向けている。2021年から「おむすび権米衛」のアドバイザーに就任。
著書に『知れば知るほどおもしろいお米のはなし』(三笠書房)、『お米がもっと好きになる。炊き方、食べ方、選び方』(技術評論社)がある。