おねばとは、炊飯時に米粒の表面から出てくるでんぷんの溶解物が、濃縮して膜状にごはん粒を覆ったものです。このおねばによってごはんのツヤが生まれるため、「ゆうだい21」はごはん粒の表面がみずみずしく輝き、口の中でも濃厚なおねばを感じることができ、冷めてもしっとり感が続くのが特徴です。

炊飯によって変動が出やすい品種だと感じますので、うまく炊けない場合は水の量や炊飯道具を変えたりして試してみることをおすすめします。

一方で、今後に注目しているのは「かぐや姫」です。

猛暑の影響を軽減?「かぐや姫」の可能性

「かぐや姫」は、宮城県の旧・矢本町(現・東松島市)の小野寺諭さん(故人)が、平成5(1993)年の「平成の大冷害」時に発見した「ササニシキ」の突然変異から育てあげ、平成11(1999)年に品種登録されました。種子の譲渡・販売が限定されていたため、栽培者が極めて少ない超希少品種でしたが、6年前に種子の権利が切れ、誰でも栽培できるようになりました。

栃木県塩谷市「すぎやま農場」の農家・杉山修一さんは5年ほど前に兵庫県の農家から種もみを入手して栽培を始めました。

神明育種研究所の田んぼでは、品種登録時のかぐや姫の性質や形を目指して選抜中
神明育種研究所の田んぼでは、品種登録時のかぐや姫の性質や形を目指して選抜中

現在、日本で作られているお米のほとんどがコシヒカリの直系子孫ですが、「ササニシキ」や「かぐや姫」は例外です。だからこそ、「この品種をこのままなくしたら日本にとっての大きな損失」と考えた杉山さんは、かぐや姫の稲の姿や特性を保持するために、埼玉県久喜市「神明育種研究所」に原種苗管理を依頼しました。

時間をかけて実っていく晩生品種で猛暑の影響を少なくできる可能性があるため、杉山さんは「地球温暖化時代のササニシキの代替としておもしろい品種」と考えています。

希少品種となった「ササニシキ」

かぐや姫のもとの品種である「ササニシキ」は、1963年(昭和38年)に宮城県古川農業試験場で生まれましたが、平成の大冷害から2年連続の大幅減収をきっかけに栽培農家が減少してしまい、今では希少品種となりました。