クマの出没はもはや日常と化し、被害も拡大を続けています。
秋田市では18日から、黄色に色づいたイチョウの木の上にクマが度々居座りました。
クマが現れたのは大森山動物園のすぐそば。
大勢の人が訪れる場所であるため、現場には緊張が走りました。
20日、こちらの動物園は通常営業していますが、自動ドアが手動になり、クマ対策がされていました。
一方、山形・寒河江市では住宅の近くの畑に親子グマが出没。
子グマが“箱わな”にかかり、その周辺を親グマがうろつく危険な状況となっていました。
人的被害が発生する可能性が高いことから、市は“緊急銃猟”を実施。
2頭のクマを駆除しました。
撮影者は「びっくりした。『撃つよ』と言わないで撃った、パンパンって」と話しました。
同じ山形県の尾花沢市では70代の女性がクマに襲われ、顔や手などをひっかかれるけがをしています。
被害者の家族は「おばあちゃんもびっくりして、クマもびっくりして、2人ともびっくりして襲われた」と当時を振り返りました。
過去最悪となるクマ被害。
「イット!」は、クマの優れた学習能力が分かる映像を入手しました。
クマを調査するため、群馬県の養蜂場に設置された監視カメラの映像です。
クマの好物であるハチミツの入った巣箱の周りには、侵入を防ぐ電気柵が張り巡らされ、万全の対策がとられていましたが、クマが最初に現れたのは9月1日午後11時過ぎ。
警戒しているのでしょうか、周囲をうかがうとその場から立ち去っていきました。
それから3週間後、クマが出没したのは午後7時過ぎと、時間帯が早まりました。
クマの生態を調査する真輝さん:
これは明らかに電気柵に対しての警戒心が薄まっているということが言える。
4日後、クマが再び現れた時間はさらに早まって午後6時過ぎに。
クマの行動は次第に大胆になり、一歩、また一歩と電気柵へ近づいていきます。
そして、電気柵にクマの鼻先が触れ感電。
すぐに逃げていきました。
しかし10月には、この電気柵をすり抜けるクマが出現したのです。
ハチミツが入った巣箱を狙い、母グマが電気柵をすり抜けました。
すると、これに続き2頭の子グマもするり。
なぜ通り抜けることができたのでしょうか。
クマの生態を調査する真輝さん:
(冬眠前は)毛が厚くなっている。プラス皮下脂肪が厚いので、背中部分は電気が通りにくいと考えられる。
さらに、驚きの行動に出るクマも。
2019年に岩手・紫波町で撮影された映像では、リンゴが保管された倉庫の前に1頭のクマが現れたことが確認できます。
目の前には電気柵が張り巡らされていました。
すると、クマは前脚を使って電気柵の下の土を掘り始めたのです。
電気が流れるワイヤーに触れないように土を掘って隙間を作ると、クマは中に侵入していきました。
岩手大学農学部・山内貴義准教授:
トライアンドエラーを経験しながらどんどん賢くなる。言ってしまえば、人間がどんどん(クマの)頭をよくさせてしまっているようにも言える。