フジテレビ報道局の調査報道プロジェクト「スポットライト」では、皆さんから寄せられた身近な困りごとや疑問にお答えします。今回は「ふるさと納税の返礼品が送られてこなかった」というトラブルについてです。

1万5000円寄付したのに5800円しか戻らず

<投稿>

お世話になります。今年、長野県南箕輪村に梨のふるさと納税を行いました。しかし、梨を送れないのでキャンセルになる、返金するとの封書が届きました。そして、本日届いた封書が添付画像のもので、15,000円の寄付をしたのに返金は3,800+2,000=5,800円との回答と弁護士事務所の法的意見が届きました。あまりに一方的な対応であり、この弁護士の意見書に疑義もあり番組の方で調査いただければ幸いです。同じように困ってらっしゃる方がいらっしゃると思います。よろしくお願いいたします。(50代男性)

寄付金返金義務はナシ

今回ご投稿いただいた男性によると、長野県南箕輪村にふるさと納税をしたのに返礼品の梨が届かず、1万5000円の寄付に対して5800円しか返金できないとの通知があったとのことでした。

南箕輪村はピンクのフクロナデシコが有名 資料画像
南箕輪村はピンクのフクロナデシコが有名 資料画像
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男性のところには当初下記の2つの選択肢を示すお詫び状が届きました。

1)寄付金額(1万5000円)に相当する額の返金
2)来年度以降に返礼品を送る

しかしその後「お詫び状の方針変更について」として、男性が上記「添付画像」で共有した通知が届き、以下の3つの選択肢に変更する旨記されていたということです。

1)返礼品相当の3800円+迷惑料2000円=5800円を返金
2)来年度以降に梨を送る
3)寄付をキャンセルする

通知には顧問弁護士の「法的意見」が同封されていて、それによると返金額が1万5000円全額から5800円に減額された理由は

1)村は梨を送れないことについて、寄付金額に相当する金額を返金すると提案しているが、これは法的に根拠のない違法な支出として住民監査請求や住民訴訟の対象となる恐れがある。

2)村は梨を送付する約束を履行できなかったので、梨の時価額を弁償する責任がある。一方で寄付額に相当する金額を返金する法的義務はない。

ということでした。

つまり、村は梨を送れなかったことを何らかの形で弁償するか、寄付自体をキャンセルしてもらうかしかない、と説明しているということになります。

総務省の回答

この対応が妥当なのかについて、ふるさと納税の所管の総務省自治行政局市町村課に聞いてみました。

まず、ふるさと納税と返礼品の関係について、総務省が全国一律のルールとして定めているのは、「返礼品の金額が寄付金額の3割を上回らないこと」の一点だけで、返礼品が用意できない場合にどうするかは個々の自治体の判断」とのことでした。

総務省「返礼品は寄付に対する自治体の謝礼なので、支払いへの対価ではない」
総務省「返礼品は寄付に対する自治体の謝礼なので、支払いへの対価ではない」

その上で「ふるさと納税は寄付であり、返礼品は寄付に対する自治体の謝礼なので、支払いへの対価ではなく、寄付の流れと返礼品の流れはリンクしていないとの考えに立っている」、としていて、返礼品が送られなかったからといって寄付金の返金とつながるかは、民法上の解釈の問題、という回答でした。

一方で、「今年返礼品が用意できないので次年度、次次年度…調達ができ次第という対応はあって然るべき。それについて、いつまでに返礼をすまさなければならないと言った法令やガイドラインは定めていない。これについても個々の自治体の対応に任せている。」とのことでした。

梨が送れなかった理由

そもそもなぜ梨が送られなかったのでしょうか。南箕輪村の担当者に確認すると以下のような事情が分かりました。

「返礼品の梨について、総務省に登録した産地と一部違うものが含まれていたことが情報提供でわかり、寄付者にお送りすることを控えました。
総務省には南箕輪村を含む3自治体で生産された梨と登録しましたが、実際は同じ南信地域の別の自治体で生産されたものが含まれていたのです。ふるさと納税サイトには『信州産』とうたっていて、寄付者の誤解を招くものではなかったが、村として送るべきで無いと判断しました」

村によると、梨が送れなかった寄付者は約3000人とのこと。当初寄付額相当を返金するとお詫び状を送っていたことなどから、電話等で200人~300人から苦情や問い合わせが殺到したということです。

寄付者たちは、梨の相当額など5800円を受け取る人、来年の梨で埋め合わせを依頼する人、寄付をキャンセルする人がそれぞれに一定数いるとのことです。

南箕輪村によると、寄付のキャンセルを希望する人にはふるさと納税サイトを通じて速やかに返金できるようにする、とのことでした。

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