宮崎県では11月16日に最低賃金が引き上げられた。最低賃金は初めて時給1000円を超え、1023円となった。この賃上げは労働者にとっては歓迎される一方、中小企業からは経営への影響を懸念する声が上がっている。

従業員はモチベーションアップ

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今回の引き上げで、宮崎県の最低賃金は時給952円から71円増の1023円になった。宮崎市の繁華街で飲食店7店舗を経営するコンフォートダイナーでは、最低賃金の引き上げに伴う人件費の算出を進めている。

最低賃金で働いているアルバイトの場合は…

コンフォートダイナー 竹井倫世副社長:
暦通りに働いて1日8時間働かれる方のお給料。最低賃金のアップで月に1万円ちょっと給料が上がる。

アルバイトでも月1万円以上の給料アップ。従業員のモチベーションアップにもつながっている。

アルバイト歴2年目の田代健太郎さんは「これまで以上にしっかりやらないといけないと感じる。働いた分だけしっかりお金が入ってくるようになっているので、自分のやる気に影響する」と話した。

コンフォートダイナーでは、今回の賃上げは、業務内容に合わせて全員行われるという。

竹井副社長は「中間層がそれ以上、昇給の幅を上げないと自身の仕事に対して納得がいかないのではないか。大体平均としては、(月に)1万5000円から2万円分の昇給額というふうに算出している」と説明した。

コンフォートダイナーには約50人の従業員がおり、今回の賃上げにより、毎月75万円から100万円程度の人件費増加が見込まれる計算だ。

竹井副社長は「手取りの金額をある程度上げることができても、いまの物価高騰に見合う賃上げになっているかというと正直まだまだ足りないが、企業としては限界に近い賃上げ率」と現状を語った。

 中小企業、人件費増とコスト上昇に苦慮

県中小企業家同友会が県内の中小企業193社を対象に実施した調査では、2025年10月時点で経営上の最も大きな問題点として「資材の高騰」を挙げところが46.1%と最多だった。その次に高いのが「人件費の増加」で、38.9%となっている。

中小企業家同友会の那須久司代表理事は、「価格転嫁がそこまでできていない。資材の高騰分は転嫁できているが、人件費をあげた分は転嫁できていないという話もある。急激な賃上げは、「景気が良くなる」というよりも「倒産が増える」というふうに思っている」と現状を分析した。

県中小企業家同友会は、県内中小企業の景況について、「コスト上昇により利益が伸び悩んでおり、後退局面へ移行しつつある」との見解を示している。

(テレビ宮崎)

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