物価高騰が続く中、原材料費や光熱費などのコスト上昇に加え、従業員の賃金アップも避けられない状況に直面する中小企業は少なくない。宮崎県の調査では、県内223の企業のうち4割近くがコスト増分を価格に反映できていない実態が明らかになった。このような状況下で、企業が利益を確保し、持続的な賃上げを実現するためには何が必要なのか。宮崎県で開催された事業者向けセミナーでの議論や、現場の経営者の声から、中小企業が直面する厳しい課題と、その解決に向けた経営の工夫を考察する。

コスト増を価格転嫁できない現状

2026年1月、宮崎市で宮崎県商工会連合会主催の事業者向けセミナーが開催され、経営者など約50人が参加した。

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 セミナーでは、企業の利益向上と、それが賃上げにつながるという理想的なサイクルを構築するため、効率的な生産体制の確立や価格設定の見直しなど、持続的な対策の重要性が強調された。

 県よろず支援拠点の堀川寿美恵さんは、最低賃金の上昇に対応するだけでなく、「企業として持続的な賃上げをできる体力づくりが求められている」と話し、根本的な経営体質の強化が必要だとの認識を示した。

物価高と賃上げに苦悩する経営者

セミナーに参加した事業者からは、コスト上昇を価格に反映しにくい、厳しい現状が聞こえてきた。

 日之影町の飲食店経営者
(Q.経営状況は)現状維持が精一杯の状態ですね。(Q.特に値上がりが目立つのは)アルコールも、お米も。物価高なので飲み放題のコースなどの値段設定を上げたいが、実際に上げるとお客様は上がった方を選んでくれない。

経費がかかる現状に頭を抱え、消費者や取引先の反応が気になるという声も… 

製造・小売業の又木勇樹さんは「原料費も従業員の賃金も上がっているので、商品価格を上げざるを得ない。しかし、商品を卸す問屋も価格が上がると売り場の商品価格を上げないといけなくなる。卸先への影響も含めて厳しい部分がある」と話す。

 又木さんは高原町の「さつま地鶏屋」で、鶏肉の加工と販売を行っている。

原料の鶏肉は鳥インフルエンザが全国的に広がった2022年以降、仕入れ値が上昇している。

 又木さんは、鶏もも肉の仕入れ値( 1キロあたり)が2021年12月は642円だったが、2022年12月には773円に値上がったと説明する。

 その後も値上がりは止まらず、2026年1月には平均830円にまで高騰した。

同社では、2023年に商品の内容量を減らし、2024年には価格を値上げせざるを得なかったという。

そのような状況下で、2025年11月には宮崎県内の最低賃金が71円引き上げられ、同社も従業員の給料を上げた。又木さんは「人件費を上げてから商品価格を据え置いているため、その分利益は下がる」と話す。

 値上げに二の足を踏む理由

本音ではさらなる商品の値上げをしたいところだが、又木さんは値上げの難しさを訴える。

 さつま地鶏屋 又木勇樹取締役
(消費者は)「鶏肉だから安いはずなのに、なんでこんなに高いんだろう」というイメージがある。取引先も「こんなに高いと売れないよ」となる。いろんな部分を加味すると、商品の値段は上げづらい。

 宮崎県内の中小企業が持続的に利益を出し続けるためにはどうすればよいのか。このセミナーは、そうした課題意識から開催された。県内の企業は、コストの上昇を適正に価格に反映させるための経営の工夫を迫られている。

 宮崎県よろず支援拠点では、県内中小企業の経営相談に応じており、2026年4月からはコーディネーターが事業所に直接足を運び、売り上げ拡大や助成金・補助金の活用方法を提案する取り組みを開始する。この新たな支援策が、中小企業の経営改善に繋がることが期待される。

(テレビ宮崎)

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