覚醒剤取締法違反の罪に問われた女性に裁判所が無罪判決を言い渡しました。
熊本地裁は判決で「年上の男性に威圧的言動で執拗に迫られ、抵抗できなかった」などとして「自らの意思で覚醒剤を使用したことについては合理的な疑いが残る」と判断しました。
無罪判決を受けたのは住所不定、無職の21歳の女性です。
判決などによりますと、女性は今年4月、熊本県内またはその周辺で覚醒剤を違法に摂取した罪に問われています。
女性はこれまでの公判で覚醒剤を摂取したことについては認めていたものの、「意思に反して他者から注射された」などと訴え無罪を主張していました。
14日の判決で熊本地裁の中田 幹人裁判官は「女性は、年上の男性と一軒家に2人だけの状況で、威圧的言動で執拗に迫られて怖くなり、逃げることも強く抵抗することもできず、腕を引っ張られて覚醒剤を注射されるなどしていて、自分の意思で使用したとは言えない」と判断。
さらに、「抵抗することもできたと思うが抵抗していないのでけがをしていない」などと書かれた女性の供述調書について「捜査官の示唆のもと作成され、女性が異を唱えることができないまま、署名、指印するに至った可能性も否定できない」と指摘しました。
そのうえで、「女性が自らの意思で覚醒剤を使用したことについては合理的な疑いが残る」として女性に無罪を言い渡しました。(求刑:1年6カ月)
無罪判決を受け、熊本地検はTKUの取材に「判決内容を確認し、適切に対応したい」とコメント。
熊本県警は「判決内容を把握できていないのでコメントを差し控える」としています。