去年の兵庫県知事選挙をめぐる刑事告発で斎藤知事が不起訴になったことを受け、弁護士らが検察審査会に申し立てを行った。

一方、斎藤知事は出直し選挙での再選から1年となるのを前に、インタビューに応じた。

■再選から一年「トップというものは孤独」と斎藤知事

【兵庫県・斎藤元彦知事】「私は県知事という組織の長ですから、色んな悩みや政策に関する思いというのはあっても、最終的には自分で判断するというものですので、トップというものは孤独だということは、元々覚悟してやってましたから」

14日午前、関西テレビなどのインタビューに応じた斎藤知事は、「トップは孤独」と再選からの日々を振り返った。

知事選を巡っては、PR会社の社長が斎藤知事のSNS運用など「広報全般を請け負った」とインターネットに投稿。

知事陣営からはポスターのデザイン費などで71万5000円が支払われた。

この支払いについて郷原信郎弁護士と神戸学院大の上脇博之教授は公職選挙法が禁じる「買収」と「利害誘導」にあたるとして、斎藤知事とPR会社の社長を刑事告発。

およそ1年間にわたる捜査を経て、神戸地検はおととい=12日、「選挙運動の対価としては認められなかった」などとして2人を嫌疑不十分で不起訴処分とした。

郷原信郎弁護士
郷原信郎弁護士
この記事の画像(4枚)

■「SNS時代の選挙に影響する判断。審査員(市民)に判断して欲しい」

これを受け、郷原弁護士らは14日会見を開き、市民から選ばれた審査員が地検の不起訴判断の妥当性について検討する「検察審査会」に斎藤知事の起訴相当の議決を求め、
検察審査会に申し立てを行った。

【郷原信郎弁護士】「むしろ本件は、この検察の不起訴処分を受けての検察審査会への申し立ての方が私は本番だと考えております。

SNSの運用がものすごく重要になっている時代での選挙のあり方などにも関係、影響する事案であると考えると、検察の判断だけで不起訴で終わらせていいのか。

審査員の皆さんに判断していただきたいと考えたところです」

検察審査会で起訴相当や不起訴不当の議決が出れば、地検は再捜査することになる。

検察審査会に申し立て
検察審査会に申し立て

■「庶民の感覚、常識が極めて重要な意味」

この動きについて、藤井聡・京都大学大学院教授は「カギは庶民の常識」にあると指摘する。

【藤井聡・京都大学大学院教授】「何が問われているかというと、斎藤知事がある会社にお金を支払ったと。それが斎藤知事の選挙運動に対してのものであれば買収にあたり、起訴。

単に印刷費とか事務的なものだけなんですよといおうことであれば、不起訴。

今回の(神戸地検の)司法的判断は、買収だと確定的に言うことは必ずしもいえない、と解釈できる。

買収という可能性が『ゼロですよ』と言っているのとは別。

このあたりの微妙なところは、我々の庶民感覚で、それはアカンやろうとか、まあええんちゃう、とか、司法の厳密な判断ではなく、庶民の感覚、常識が極めて重要な意味を持つ」

その上で藤井教授は「庶民の常識で(検察審査会には)適切に判断いただきたい」と述べた。

(関西テレビ「newsランナー」2025年11月14日放送)

藤井聡・京都大学大学院教授
藤井聡・京都大学大学院教授
関西テレビ
関西テレビ

滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山・徳島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。