過去最悪の犠牲者を出し、災害級となったクマ被害。

13日、秋田県と岩手県に集まったのは18人の警察官です。

13日から警察官によるライフル銃でのクマの駆除が可能となり、人的被害が深刻な地域での活動が開始されました。

その岩手県では、13日もクマが出没。
現場は高速道路のサービスエリアでした。

防犯カメラの映像では、猛ダッシュで逃げるクマの後ろをパトロールカーが追っているのが分かります。

付近にはガソリンスタンドもあり、緊張が走りました。
ガソリンスタンドの店員は「びっくりしました。本当に出るんだな。まだ冬眠しないんだなと思った」と話しました。

この影響で、サービスエリアが一時閉鎖される事態となりました。

また、13日も各地で緊急銃猟が相次いでいます。

新潟・五泉市では住宅裏にある柿の木の上でクマを発見。
警察官がクマ撃退スプレーを手に、厳戒態勢がとられました。

そして午後1時ごろ、緊急銃猟による発砲で駆除されました。

さらに、山形・長井市でも緊急銃猟による駆除を実施。

12日から目撃されていたクマが柿の木にとどまり、緊急銃猟による発砲で駆除されました。

子供たちが通う学校にも、またクマが出没しました。

12日午前、宮城県にある仙台白百合学園中学・高校で、敷地内を徘徊するクマが目撃されました。

辺りをうかがうようにのそのそと歩くクマ。
すぐ目の前の道路には、車も走っていました。

隣町にある大学などでもクマの目撃情報が相次いでおり、警察は同じ個体の可能性があるとみて警戒を強めています。

危険と隣り合わせのクマの捕獲と駆除。

青森・黒石市で活動する猟友会がツキノワグマを捕獲した際の映像では、クマが箱わなのおりにかみつき、激しく暴れている様子が確認できます。

捕獲されたクマは、体長約1m30cm、体重120kgでした。

別の日には、捕獲したクマは暴れ、鉄でできたおりを破壊。
そのまま逃げてしまいました。

その後、猟友会はクマが逃げることがないようにおりの改修を行ったといいます。

山形・飯豊町で50年にわたってクマを駆除してきた猟友会の伊藤安雄さん(74)は、ハンター不足も指摘される中で、警察官がライフル銃でクマの駆除が可能になったことを「銃を持つ技術は(警察官が)上だと思うが、動いている(クマ)のはどうかなという感じ。猟友会だとまわりの判断は警察より上だと思う」と話します。

「イット!」が取材した岩手・花巻市で活動する猟友会事務局長の梅原大介さんも、クマをライフル銃で撃つことの難しさについて「ライフル射撃は1カ月や2カ月で習得できるものではない。クマを銃で撃つことは、いろんなパターンがある。どこにクマが出て、どういう状態かによって本来は銃を使い分ける」と語りました。

梅原さんによるとクマの一番の急所は心臓。

しかし、狙うのが難しいため、首より上を目がけて銃を撃つといいます。

さらに注意する必要があるのは、肩や腹、足を撃っただけでは仕留めきれず、手負いとなったクマ。

逆上し、見境なく誰にでも襲いかかってくるといいます。

ロシアのハンターが山でクマと遭遇した際に撮影したとみられる動画では、手負いグマの危険な様子を捉えていました。

ライフル銃を何発も撃ったにもかかわらず、クマはひるむことなくハンター目がけて襲いかかってきたのです。

2024年6月にロシア・サハリン州で撮影された動画では、故障した車を路肩に止めていると、突然、目の前にクマが現れました。

ドライバーはクラクションを鳴らしてクマを追い払おうとしますが、これに逆上したのか、クマがボンネットに乗ってきたのです。

さらに、運転席のほうへと近づくと、いとも簡単にワイパーを破壊。
すさまじいパワーに、ドライバーもなすすべがありませんでした。

こうしたクマを駆除するには、逆上させず、一発で仕留めることが大事だといいます。

花巻市猟友会事務局長・梅原大介さん(狩猟歴25年):
5メートルぐらいの位置だと考えると、ライフルでは対処しきれなくなる。クマはすごく怖いもの。外したら本当に命がけ。クマが横たわって動かなくなったとしても危険。まだ生きている可能性があるので。本当に死んだことを確認してからでないと、銃はしまえない。

深刻なクマ被害を巡っては、捕獲などを行うハンターが不足しています。

そして、その要因の1つとして「危険度に比べた報酬の低さ」があります。

FNNは、人身被害の6割を占める東北6県の全ての市町村に、ハンターの報酬についてアンケート調査を行いました。

回答があった136の自治体のうち、すでに報酬を増額したのは約2割でした。

一方で、ハンターへの報酬のもととなる国からの交付金について「不足している」、または「今後不足するとみられる」と答えた自治体は6割に上りました。

また「ハンターの苦労に見合う増額を望む」など、国に対し交付金を増やすように求める自治体が75%に上り、政府による報酬制度の設計を求めている実態が明らかになりました。

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国際取材部
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